記事特集
阪神・淡路大震災の教訓を伝える「語り部」の活動を続ける兵庫県西宮市のNPO法人が、日本と同様に地震の多い南米チリで、地元住民を対象にした語り部養成支援を始めた。被災者が自らの体験を語るだけでなく、町を歩いて災害の歴史を確認し、減災について考える役割も担う。災害の教訓を生かす手法が海を越え広がっている。(斉藤絵美)
1997年に西宮市が始めた「まちの語り部」講座を引き継ぎ、市民ボランティアを養成するNPO法人「こども環境活動支援協会(LEAF)」。語り部たちは町を歩いて歴史や自然環境などを確認し、災害を防ぐ策を伝承してきた。
チリでの活動はJICA関西(神戸市中央区)の事業の一環。同国政府の協力を得ながら、中部のバルディビア市で取り組むことになった。
同市は1960年5月のチリ地震で、史上最大のマグニチュード(M)9・5を観測。死者2千人以上、200万人以上が家屋を失う被害が出たとされ、日本を含む環太平洋全域で津波が発生した。周辺では100~150年周期で大地震が発生しており、地元では今後10年以内にM8・0規模の地震が発生する可能性が指摘されている。
一方、チリ地震から半世紀以上が経過し、被災の記憶は風化が進む。被災者は年々減少しており、語り部の活動を根付かせる必要性が高まったという。
同法人のメンバーは昨年3月、チリで現地の行政職員らと実際に町を歩いた。地盤が強固な場所では建物の被害は確認できなかった一方、低湿地では工場が倒壊した実態を示すなどして、災害に弱い地理や環境を交えて伝えるよう指導した。
9~10月に現地で実施された語り部のお披露目会にもメンバーは参加。地盤が軟弱な地域や水害に遭いやすいエリアなどを確認しながら町を回ると、参加者からは「地域のことを知っているようで知らなかった」という声が上がったという。
同市では現在、現地の財団が語り部を養成中で、来年度からはチリ全域に活動を広げる予定。同法人の小川雅由事務局長は「阪神・淡路を経験して得た語り部のモデルを、ほかの国にも広げていきたい」としている。
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