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長田の商店街と高校「絆」再び ネットに仮想商店街

2014/01/10 15:21

 ともに神戸市長田区で阪神・淡路大震災に遭い、その後は別の地域で復興の道のりを歩んだ神戸星城高校(旧神戸女子商業高)と大正筋商店街が、再び絆を深めている。生徒たちが商店街を活性化させようと、インターネット上で店巡りの疑似体験ができる「バーチャル大正筋商店街」を3月20日にオープンさせ、魅力を発信する。(宮本万里子)

 神戸女子商業高はJR新長田駅から約300メートル南にあり、大正筋商店街の「ご近所さん」だった。店主の子どもが同校に通ったり、教員らが商店街で買い物をしたりと、互いに親しんできた。

 しかし、1995年1月の震災で、商店街の大半が焼失、同校も校舎の一部で1階が押しつぶされた。一帯は再開発事業の対象になり、同校は同市須磨区緑が丘1に移転、校名を神戸星城高に変えて共学となった。

 バーチャル商店街を発案したのは、同校の延原(のぶはら)宏教諭(46)。同校に勤めていたが、震災後、もともと決まっていた岡山県の高校に移らなければならかった。被災した生徒もいた中で神戸を離れてしまったことが心残りとなり、6年前、再び神戸星城高へ。

 久しぶりに訪れた大正筋商店街は店主の高齢化が進み、かつてのにぎわいも失っていた。店主から「生徒たちがいなくなって寂しい」との声も聞き、つながりを復活させることを思い立った。

 制作は、延原教諭が顧問を務めるコンピューター部や3年の生徒63人が担当。昨秋から同商店街の52店舗を生徒が回り、店の情報を集めた。

 商店街を歩いて巡る想定。5メートルおきに写真の景色が変わり、各店にたどり着いてクリックすると、営業時間や商品の特色などの情報が示される。当面は生徒が内容を更新していくという。

 同商店街振興組合の伊東正和理事長(65)は「高齢化した商店街を、若者の力を借りて元気にできれば」。同校3年の橋本航輝君(17)は「お店の特徴をしっかり反映し、人が集まる場にしたい」と意気込んでいる。

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