囲碁の関航太郎天元(21)に一力遼二冠(26)=棋聖、本因坊=が挑戦する第49期天元戦5番勝負(神戸新聞社主催)の第1局が10日、愛知県岡崎市の龍城神社で打たれ、午後4時46分、白番の関天元が208手までで中押し勝ちした。関天元は3連覇に向けて好スタートを切った。
持ち時間各3時間のうち、残りは両者とも1分。第2局は17日、札幌市のホテルエミシア札幌で打たれる。
握って黒番になった一力が初手を右上隅小目(17四)に打ち下ろして始まった本局。序盤は速いペースで進行し、左辺の小競り合いで関が優位に立った。一力が黒65(14六)と左辺の黒石を捨てて右辺に進出したのをきっかけに、盤面全体での戦いに進み、形勢は互角に戻った。一力は黒113(1十)からコウを仕掛けて下辺を生きにいったが、巧みにコウ材を増やした関が優位に立ち、そのまま手堅く勝ちきった。
立会人の彦坂直人九段(61)は「両対局者とも、人工知能(AI)を使った研究が行き届いた序盤戦と、タイトル戦らしい粘り強い中盤戦が印象的だった。関天元が負けてもおかしくない局面もあり、大きな1勝だった」と振り返った。