万博弁当第2弾の食材に選ばれた「オクノの玉子」=加古川市八幡町下村
万博弁当第2弾の食材に選ばれた「オクノの玉子」=加古川市八幡町下村

 2025年大阪・関西万博に向けて万博首長連合が考案する「万博弁当」第2弾の食材に、加古川市八幡町下村の採卵養鶏場「オクノ」の卵が採用された。同社は飼料用米をはじめ、国産原料の割合を高めたこだわりの餌を自家配合することで、こくやうまみのある卵を生産する。全国の特産品を活用した料理が並ぶ中、スパニッシュオムレツに使われている。(斉藤正志)

 同連合は21年に発足し、23年末時点で全国の658市区町村が参加。万博を機に地域活性化を目指しており、加古川市も賛助会員として加盟している。

 万博弁当は「手のひらに乗る地域産品の祭典」がテーマ。伝統技法や環境に配慮した素材を用い、各地域の魅力を発信するために企画した。

 東京、大阪で調理製菓専門学校を運営する「村川学園」(大阪府泉大津市)の教員、学生らがレシピを考え、23年6月には34自治体の35種類の食材を使った第1弾を発表。大阪の弁当事業者によって販売された。

 第2弾は38自治体の39種類を使い、同11月の万博開幕500日前イベントでお披露目された。今後、販売も検討するという。

 「オクノの玉子」は、全国大会「TKG(卵かけごはん)チャンピオンシップ」で12年から3連覇。昔ながらの自然な味には、ファンが多い。09年から本格的に飼料用米を餌に使い始め、現在は加古川市、稲美町、神戸市西区の36ヘクタールで生産された約250トンを使用する。赤穂の塩や北海道釧路産のサンマ魚粉なども配合している。

 23年6月からは、地元の八幡営農が栽培するパスタ用デュラム小麦「セトデュール」と、東播磨地域特産の六条大麦も、規格外品を調達して加工。飼料として活用する。国産原料の割合は全体の約8割に上るという。

 万博には「持続可能な開発目標(SDGs)達成への貢献」が掲げられており、「デュラム小麦と六条大麦の規格外品の活用など、飼料の地産地消に努めていることが、万博のコンセプトに合致したのかもしれない」と社長の奥野克哉さん(56)。万博弁当の食材に選ばれたことには、「今後も安心でおいしい卵を届けるため、励みになる」と笑顔を見せた。