宝塚・ボーガン殺傷
「住人の耳に矢のようなものが刺さっている」。突然の事件の一報に、住宅街は物々しい雰囲気に包まれた。兵庫県宝塚市安倉西2の民家で4日午前、複数の住人がボーガンで撃たれた事件で、同県警は孫とみられる23歳の男を殺人未遂の疑いで現行犯逮捕した。現場周辺にはパトカーや捜査車両が次々と駆けつけ、規制線の内側へ入っていった。
事件は4日午前に発生。「矢を撃たれた」と119番通報があった。県警によると、けがをした家人が近隣住民に助けを求め、近くの家に駆け込むなどしたという。2人が死亡した。
規制線が張られた現場周辺では救急車が現場に停車し、隊員が出入りする様子が見られた。テレビカメラなどを構えた報道陣が20人ほど集まり、上空には報道ヘリも飛び、騒然とした雰囲気になった。規制線の外側では、不安そうに捜査の様子を見つめる住民の姿も。捜査員は住民から話を聞くなどしていた。
事件で使われたとされるボーガンは海外で狩猟に使われる洋弓銃。銃に弓を張ったような形で、引き金で矢を放つ。国内では所有するのに免許や許可は必要ないが、アーチェリーなどのように安全が確保された場所で使うのが一般的という。
ボーガンが使われた事件は、2015年に愛知県で新聞配達員の30代男性がボーガンや刃物で襲われる事件が発生。逮捕された容疑者は、インターネットサイトで複数のボーガンやナイフを購入していたとされる。
13年には神奈川県で、長男(19)が母親(43)の頭を隣の部屋からボーガンで撃ち、ナイフで首を突き刺すなどして殺害した事件が起こっている。
現場は宝塚市役所から東に約1キロで、武庫川沿いにある住宅街。幹線道路に近く、商業施設も立ち並ぶ。現場近くに住む女性は「救急車などがたくさん来たので現場近くに行くと、性別は分からないが、救急車に搬送されるけが人を1人見た。左手に血が出ていた。大学生とみられる若い人は知らないが、大きなトラブルは聞いたことがない。怖かった」と話す。
事件当時、父の通院付き添いで近くの病院にいた同市の主婦(39)は「現場近くの店に、子どもたちと一緒に行くこともよくある。そう考えると怖い」と驚いた様子だった。
現場近くにある同市社会福祉協議会の女性職員(30)は「サイレンの音が聞こえてきて、何があったのかと事務所内で話していた。普段は静かな場所なのに、ニュースで事件を知り、驚いた」と話していた。
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