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いのちをめぐる物語

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男性の死体検案書の写し。長期間、発見されなかったことがうかがえる
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男性の死体検案書の写し。長期間、発見されなかったことがうかがえる

 兵庫県明石市の有料老人ホームで、入居者が「孤独死」していた。亡くなった90代の男性は遺体の状況から、通夜や葬儀では棺(ひつぎ)のふたにテープが張られ、遺族は顔を見られなかった。棺に花を入れることもできず、遺族は「きちんとお別れもできなかった」と悔しさをにじませる。

 男性は2000年、妻と一緒に入居。妻が04年に亡くなった後も同じ部屋で1人で暮らしていた。「子どもたちに迷惑をかけたくない。誰にも気付かれずに死ぬのも嫌」などと語っていたという。

 入居金は2人で約2200万円。男性は介護の必要のない「自立」で、現在は管理費などで月約12万円を支払っていた。

 今月22日朝、男性は自室の机の近くで倒れているのが見つかった。今月4日、家族が訪れた際に作った煮物が、鍋の中でカビだらけになっていたという。

 同ホームでは、入居者の約8割は介護保険サービスを受けており、定期的に部屋に人の出入りがある。男性と同じ「自立」の人の安否は、清掃サービス(無料)やレストランでの食事、医師による往診の状況などで把握していたが、男性はいずれも利用していなかったという。介護保険サービスを使っていない入居者の安否確認のため、スタッフが各部屋を訪問する制度はなかった。

 遺族は「支払ったお金は安くはない。介護保険サービスを受けず、身の回りのことができていたとはいえ、何かあったときは助けてほしいと思っていたはず」と肩を落とした。(紺野大樹)

2019/5/31

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