いのちをめぐる物語
兵庫県内の41市町全てで2018年、病気や事故などで亡くなった死亡数が出生数を上回ったことが、県などへの取材で分かった。県内の全市町で、死亡数が出生数を上回るのは初めて。前年までは出生数の方が多かった西宮と伊丹市でも逆転した。平成が始まった1989年の統計を、合併を経た現在の41市町に当てはめると、死亡数の方が多かったのは3市のみだった。この30年間で少子高齢化の波が都市部に押し寄せたことが分かる。兵庫は今後、本格的な「多死社会」に突入していく。(紺野大樹)
県は、将来的に医療機関や介護施設などでの受け入れが困難になる可能性があることから、在宅でのみとりなどについて先進事例を調査する一方、県医師会などと連携を進めている。
兵庫県が公表している2018年の推計人口によると、県内全体では出生数が4万303人。死亡数は5万8224人で、出生数より死亡数が1万7921人多かった。
前年まで出生数が多かった西宮市は死亡数の方が23人、伊丹市は117人多くなった。洲本や豊岡市など半分以上の22市町は、死亡数が出生数の2倍以上となり、淡路地域では1人生まれる間に2・9人、但馬では2・5人が亡くなっている計算となった。
県内全体の平成時代の推移を、厚生労働省の人口動態統計でみる。
平成元年の1989年は出生数が5万3689人で、死亡数は3万6075人。出生数の方が1万7614人多かった。逆転したのは2008(平成20)年で出生数4万8833人に対し、死亡数が4万9074人。以降は年を追って、その差が広がっている。
地区別の推移をみると、1989年の時点で既に死亡数の方が多かったのは淡路、丹波地域で、その後、西播磨、但馬地域へと拡大した。神戸市は2007年以降(阪神・淡路大震災の1995年を除く)、死亡数が出生数を上回っている。出生数が多かった東灘区も2018年の推計人口で減少に転じ、全9区で死亡数の方が多くなった。
人口動態統計の速報によると、全国の都道府県では18年、沖縄県のみ出生数が死亡数を上回っている。政令市では川崎と福岡、熊本市で出生数の方が多かった。
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