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いのちをめぐる物語

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「当事者ならではの視点、言葉も伝えていきたい」と語る宮本直治さん=神戸市中央区
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「当事者ならではの視点、言葉も伝えていきたい」と語る宮本直治さん=神戸市中央区

 限られた時間を心豊かに生きるためには、どうすればいいだろう-。がん患者グループ代表で僧侶、薬剤師という西宮市の宮本直治さん(59)が、「医療と暮らしを考える会」の活動をスタートさせる。「医療では担えない部分がある」という視点から、患者に“並走”する温かい人間関係づくりを考えたり、市民と医療関係者が意見を交わす場を設けたりする予定。9月12日と10月10日に神戸で記念イベントを開く。(中島摩子)

 宮本さんは大阪市内の病院で薬剤師として働いていた2007年、ステージ3の胃がんと診断された。「今、死んだら、後悔することは何だろう」。母親を肺がんで亡くした経験から、仏教に興味があった。薬剤師をしながら11年に浄土真宗の僧籍を取得。12年からは、約120人が参加するがん患者グループ「ゆずりは」の代表に就いた。

 患者や医療関係者と交流する中、気になることが二つあった。一つ目は家族関係。人生の最終段階に望む治療やケアを話し合う「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」をしようとした。すると、家族から「何言ってるの。もっと前向きになって」と言われ、悩む人がいた。また、苦痛を伴う治療を続ける人からは、子どもから頑張れと言われるのがつらいという声も。宮本さんは、患者と家族がちゃんと向き合えていないと感じる。

 二つ目は、抗がん剤治療など、医療でできることがあるゆえにその希望にすがり、本当に大切なことをやり残してしまったと後悔する人がいること。「大切なものを見極め、医療とは何かを考えながら進むハンドル操作が必要」と考えた。

 昨年、32年間勤務した病院を退職。母親を自宅でみとり、がんを経験し、僧侶で薬剤師の自分にできることを考え、今春「医療と-」を設立した。秋からいよいよ活動を具体化させる。

 計画しているのは▽がん患者に並走する家族の心得セミナー▽市民や医療関係者が意見交換し、豊かに生きるための医療を考えるワークショップ▽胃ろうや気管切開などについて学ぶ講座▽葬儀や墓、相続などについて知るセミナー-など。宮本さんは「娘、息子世代など、これからを生きる人たちにぜひ、参加してほしい」と話している。

 9月12日午後5時半から、神戸市中央区下山手通4の県民会館で「寄り添い方セミナー」を開催。一般社団法人がんチャレンジャー(千葉県)の花木裕介代表とインターネットで結ぶ。参加費500円。

 10月10日も午後5時半から同会館でシンポジウム「医療との付き合い方を考える」。神戸市須磨区の訪問看護師、市橋正子さんが「最近の在宅医療の景色」について、尼崎市の長尾クリニック院長、長尾和宏さんが「医療との付き合い方」を語る。参加費千円。

 いずれもオンライン視聴も可(無料)。医療と暮らしを考える会TEL080・1476・5715

2020/9/7
 

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