いのちをめぐる物語
みとりや緩和ケア、死生観などについて課題を探り、最新事情を報告する「日本死の臨床研究会」の年次大会が11月3、4日、神戸・ポートアイランドの神戸国際展示場などで開かれる。43回目を迎える今年は「生と死をめぐる葛藤を支える」がテーマ。安楽死や尊厳死を取り上げるシンポジウムのほか、無料の市民公開講座も用意している。(紺野大樹)
日本死の臨床研究会は1977年に創設。毎年、年次大会を開いている。神戸での開催は88年の第12回以来3回目。今年は六甲病院(神戸市灘区)の安保(あぼ)博文・緩和ケア内科部長と、神戸市内でホームホスピスを展開するNPO法人「神戸なごみの家」の松本京子理事長が大会長を務める。
進行がんの治療継続をめぐる葛藤について医師らが意見交換するシンポや認知症の人のみとり、災害とグリーフケアをテーマにした講座など多彩な内容がそろう。日本人の「死の文化」を題材にした講演もある。
神戸国際展示場では4日午後1時半から「死を背負って生きる」と題した無料の市民公開講座を開催。日本尊厳死協会副理事長で、在宅医療に取り組む長尾クリニック(尼崎市)の長尾和宏院長を座長に、淀川キリスト教病院の柏木哲夫・名誉ホスピス長が語る。
安保医師は「近年、人生の終末期の医療において、患者や家族は生と死のどちらかを選ぶことが求められている。人には生と死の葛藤に苦しむ権利もあること、それを支えるケアこそが必要なことなども議論したい」としている。
参加費は会員以外は1万1千円、学生3千円(ポケット版プログラム1冊を含む)。シンポや講演の予定は「第43回日本死の臨床研究会年次大会」ホームページで確認できる。
運営事務局TEL06・6131・6605(あゆみコーポレーション内)
2019/10/25いのちの終い方を考える ALS女性患者の嘱託殺人事件2020/9/20
【詳報】ALS患者嘱託殺人への受け止め シャボットあかねさんに聞く2020/9/20
「限られた時間を心豊かに」がん患者団体代表で僧侶の宮本さんが会設立2020/9/7
手を借りれば何でもできる 知ってますか、ALS患者のこと2020/8/23
触れ合えば、個性分かるのに 西村隆さんのコメント全文2020/8/23
望む最期を共有「人生会議」 コロナ禍で高まる重要性2020/8/10
写真と言葉で刻む「生」 国森康弘さんが新著出版2020/4/20
緩和ケア病棟、増加の一途 30年で全国431施設に2020/3/22
伴侶を失った65歳以上の死別者 兵庫に38万人2020/3/5
未婚率上昇で増加 シングル介護の悩み共有する会2020/2/27
家族亡くした喪失感癒やす 遺族会、関西で広がり2020/2/17
終末期の迎え方、医師がヒント 神戸新聞東播支社でセミナー2020/2/11
多様なみとり、写真で紹介 神戸出身のフォトジャーナリスト講演2020/2/3
【アンケート】人生の終章へ、あなたの思いは2019/12/20
【アンケート】自身の死生観に影響した出来事は2019/12/20
「死」を話題4割に抵抗感 みとりの経験が左右2019/12/13
延命治療95%「望まない」 高年齢ほど割合多く2019/12/12
自宅で最期6割希望も「困難」 65歳以上、家族の負担懸念2019/12/11
医療過疎の山上集落へ移住 医師と看護師 兵庫から岡山・美作に2019/12/4
死者の4割、自宅で最期 みとりが「文化」の離島2019/12/2
「散らす人生」始めては 淀川キリスト教病院名誉ホスピス長講演2019/11/16
認知症って隠さなあかんこと? 接客で心元気に2019/10/29
最期までこの家で 死と向き合う家族の姿描く映画2019/10/27
みとり、緩和ケアの課題探るシンポ 神戸で11月2019/10/25
みとり需要、増える在宅支援診療所 兵庫は860超2019/9/22
「孤独死」同居でも増加 引きこもりや家族認知症で発見遅れ2019/8/19
延命意思を事前データ化 QRコードで確認検討2019/8/11
「海に帰る」散骨で別れ 葬送多様化、高まる需要2019/8/9
海岸は禁止 自然に返らないものまかない 海洋散骨で独自指針2019/8/9
人生「最期」見つめるカードゲーム 「もしバナゲーム」活用広がる2019/8/4
医療やケア、地域づくり考える 黒田裕子さんの思い受け継ぎ、7月フォーラム 2019/6/13
人生の最終段階迎えたら 希望の過ごし方、事前に話を2019/6/12
火葬炉、都市部で増強の動き 「多死社会」に備え2019/6/12
「看取りの家」断念 多死社会の課題浮き彫りに2019/6/8
VR映像で思い出の場所へ 終末期緩和ケアに効果2019/6/7
終末期の暮らしを考える 7月から神戸で講座2019/6/6