保護時、命の危険もあるほど衰弱していたちびすけくん(画像提供:あるくきくらげさん)
保護時、命の危険もあるほど衰弱していたちびすけくん(画像提供:あるくきくらげさん)

2025年5月、Xユーザーのあるくきくらげさん(@kikuragehaaruku)は、用水路に落ちて衰弱していた子猫「ちびすけ」くんを保護しました。一時は命の危機もあったというちびすけくん。現在はどのような日々を送っているのか、その出会いと歩みについてお話を伺いました。

■悲痛な鳴き声に導かれて出会った小さな命

「仕事から帰った日の夕方、子猫の大きな鳴き声が聞こえて、声のする方へ駆けつけたんです。すると、家の横を流れる水路に、ちびすけがポツンとひとりで落ちていました」

この地域には母猫が子育てしている姿も確認されており、「一時的に戻そう」と考えた保護主さん。しかし、実際に抱き上げたとき、その考えは一変しました。

「体があまりに痩せ細っていて、目やにもひどくて目が開いていなかったんです。それで病院へ連れて行くことにしました」

診断は「極度の脱水」。獣医師から「このまま放置されていたら命は助からなかった」と言われたことで、保護主さんの決意が固まります。

「『この子は放っておけない』と思って保護を決めました。年齢は、生後推定3~4週齢くらいとのことでした」

■必死にミルクを飲む姿に、思わず笑顔がこぼれた

先住猫たちと隔離するため、保護主さんは即席でダンボールハウスを制作。ベッドには、冬用のパジャマを切ってモコモコの寝床を用意したといいます。

「病院で点滴をしてもらい、ミルクも何度もあげました。3日も経つと目も開き、少しずつ歩けるようになったんです」

警戒心の強い先住猫たちは、はじめダンボールに向かって怒っていましたが、徐々に日常の一部として受け入れられるように。

「乳飲み子の保護は久しぶりで、でも育て方は覚えていました。ただ、1日に4~5回ミルクをあげるため、仕事を時短にしたり、夜中まで起きてお世話したりと少しだけ苦労しました」

1週間もしないうちに、離乳食もスタート。ところが、ちびすけくんは“ただの子猫”ではなかったようです。

「最初は必死に食べていたんですが、5日もすると気に入らないご飯に砂かけの仕草をして…。『なんて我の強い子なの!?』と驚きましたが、あまりにかわいくて笑っちゃいました」

その後、血液検査を終えたちびすけくんは、先住猫たちとの“対面”も果たします。

「怒られながらも、少し遊んでもらったりして、上手に生活しています」

■ぐんぐん成長! 天才肌のやんちゃ王子に

やんちゃなちびすけくん。今ではすっかり体力も回復し、活発な毎日を送っています。

「保護してすぐは元気がなくておとなしかったんですが、今では私の足を獲物認定して追いかけてきたり、撫でようとするとケリケリ・カミカミしてきます」

先住猫たちのしっぽにも容赦なくじゃれて、怒られてばかりの毎日ですが、その中でも保護主さんが特に驚いたのがある成長でした。

「初めてじゃれてきたときには、すでに甘噛みを覚えていたんです。最初に保護したつくしは、噛まれると本当に痛くて、しつけが必要だったので『天才か!?』って思いました」

■里親さんのもとへーー新しい一歩を踏み出したちびすけくん

6月から、ちびすけくんは里親さんのもとへ。トライアル期間を過ごしています。

「遊び盛りの先住猫さんに追いかけられながらも、元気に過ごしているそうです」

送り出すときには寂しさもあったといいます。それでも、保護主さんの表情には、ちびすけくんへの感謝がにじんでいました。

「保護時は衰弱していたのに、その後はめきめきと回復して、私にたくさんの元気をくれました。あの時、大きな声で鳴いて知らせてくれてありがとう。助けることができて本当に良かったです」

(まいどなニュース特約・梨木 香奈)