市役所職員をかたり、言葉巧みに高齢者をだます「還付金詐欺」を防ぐため、兵庫県警高砂署は、センサーで人を感知して自動で音声が流れる防犯グッズを、同県高砂市内11カ所で無人の現金自動預払機(ATM)に設置した。同署生活安全課員がわが子との掛け合いを録音し、注意を呼び掛けている。
防犯や防災用品などの製造販売「サンエス技研」(横浜市)が開発。商品名の「せっと君」には、詐欺に遭わないように、また万引、ごみの不法投棄を思いとどまるように説得する-との意味があるという。
同課の高橋明日香巡査部長(34)が設置を計画。長女(8)と「今、電話をしているあなた!」「『今日手続きをすればお金が戻ってきます』と言われていませんか」「それ詐欺ですよ」などと30秒ほどの会話を録音した。
同署によると、県内では今年、8月末までで563件の詐欺被害が発生。「オレオレ詐欺」や「架空請求」など手口をおおむね10種類に分けると、還付金詐欺は約35%を占めたという。同市内でも、同期間に2件の被害があり、うち1件は還付金詐欺だった。
高橋巡査部長は、親子で“共演”した狙いを「大人が話すより、子どもの声の方が高齢者に届くはず」とし、「『おかしい』と立ち止まるきっかけになってほしい」と願う。(千葉翔大)