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加古川市教育委員会が保護者に配布した説明文書。内科健診時に認められる下着の基準を示した
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加古川市教育委員会が保護者に配布した説明文書。内科健診時に認められる下着の基準を示した
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 内科健診で下着着用を認める-。兵庫県の加古川市教育委員会は2022年度の小中学校での内科健診について、保護者にこんな内容の説明文書を配布した。「健診に支障がない範囲の下着」に限るとし、ブラジャーは、背骨や肩甲骨が見えにくいスポーツブラを不可とするなど、基準を紹介。服を脱いで診察を受けることに抵抗がある女子児童、生徒らの心情に配慮した。(斉藤正志)

 女性の背中のイラストが二つ描かれた保護者向けの説明文書。一つは、ストラップ(肩ひも)が細いブラジャーで背中が見えており、「内科健診に支障がない下着の例」と記した。もう一つの背中が隠れるブラジャーの方には、「内科健診に支障がある下着の例」と記載。背骨や肩甲骨、胸骨、皮膚の状況などが見えにくいことを理由に示した。

 市教委学務課によると、内科健診では、医師が聴診器を胸に当てて心音を確認するほか、皮膚疾患の有無や背骨のゆがみなどを短時間に目視で確かめなければならない。医師から正確な診断が必要との声もあり、かつては原則、着衣を認めていなかった。

 健診場所はこれまでも、ついたてやカーテンで囲って個室にするなど、女子児童、生徒のプライバシーや気持ちに配慮する取り組みはしていた。しかし、男性医師の前で脱衣を嫌がる子どもの保護者から、改善を求める声があったという。

 県内でも自治体ごとに対応が分かれているが、加古川市の方針変更のきっかけになったのは20年6月、県医師会が、学校医の職務や注意点などを記した学校医手帳を改定したことだった。下着を着けたままの方が、健診を円滑にできる場合があるとの内容が加わった。

 市教委は、この学校医手帳の改訂内容を各校に伝達。事実上、服装は緩和されていたが、学校と学校医の判断に委ねられており、市教委として明確な方針を定める必要があると判断したという。

 加古川医師会と協議し、「原則は上半身脱衣での実施」とした上で、下着の着用を希望する場合は、背骨や肩甲骨、胸骨などが見える物を認めることにした。21年12月に各学校に通知し、同月と22年3月に保護者向けに説明文書を配布。22年度から適用している。

 学務課の担当者は「学校医にとっては、正確に診断し、見落としがないようにするためには下着がない方がいい。一方で、主に思春期の子どもの心理的な負担を考えると、配慮も必要で、悩ましいところだった」と明かす。

 各校で既に22年度の健診は始まっているが、トラブルなどは報告されていないという。担当者は「初めての取り組みなので、本年度の状況を把握して、改善できるところがあれば改めていきたい」と話した。

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