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姫路の植物園からため池に戻された絶滅危惧種のサイコクヒメコウホネ=加古川市志方町永室
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姫路の植物園からため池に戻された絶滅危惧種のサイコクヒメコウホネ=加古川市志方町永室
一時保管したサイコクヒメコウホネの植え戻しを行う姫路市立手柄山温室植物園の職員ら(提供写真)=加古川市志方町永室
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一時保管したサイコクヒメコウホネの植え戻しを行う姫路市立手柄山温室植物園の職員ら(提供写真)=加古川市志方町永室

 兵庫県版レッドデータブックで「存続基盤が脆弱(ぜいじゃく)な種」に指定される浮葉(ふよう)植物「サイコクヒメコウホネ」の保全活動が、同県加古川市志方町永室のため池「永室(ながむろ)中の池」で進められている。姫路市立手柄山温室植物園(同県姫路市手柄)の研究員らが定期的な観察を続け、希少種の生息環境を見守る。(児玉芙友)

 サイコクヒメコウホネはスイレン科の日本固有種で、水面より少し上に直径約8センチの葉が広がり、黄色の小さな花が目を引く。良質な河川や池に咲くとされる。同県内では、丹波篠山市や淡路市などにも生息している。

 同池では約10年前まで、同じスイレン科の多年生水草「ジュンサイ」などが自生していたという。しかし、枯れ葉など有機物の堆積により水質が悪化し、水草は減少。2019年には、同池の希少種はサイコクヒメコウホネのみになってしまった。

 危機感を抱いた同植物園の松本修二研究員(68)は19年、同池の決壊を防ぐ改修工事が行われることを機に、保全活動に乗り出した。工事が始まる直前の同年5月、同池でサイコクヒメコウホネを10株採取。同植物園内のプランターで一時保管した。午前は日に当て、午後は直射日光を避ける特殊な園芸用カーテンを使うなど、水温には細心の注意を払って保存した。

 今年3月に改修工事が終わると、松本研究員は5月上旬、保存していた10株を同池の水際部分に植え戻した。以来、およそ月1回のペースで訪れて観察。7月末時点で、10株のうち6株が根付いており、8月末にもこの6株の生息が確認された。今後も定期的に同池を訪れ、生育状況や自生する他の植物の観察も続けていくという。

 松本研究員は「植え戻したサイコクヒメコウホネが生息できるかは、池の水質にとって一つの指標になる。他の種類の水草が戻ってくる可能性にも期待したい」と話した。

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