「ただ太っていただけの中年が、たった1年で生まれ変わりましたよ」。分厚い胸板と筋の入った腕を見せながら、自信を漂わせる。隆起した筋肉を短期間で作り上げた。
今年7月、健康的な肉体美を競う「ベストボディ・ジャパン2022神戸大会」のモデルジャパン部門マスターズクラス(40~49歳)でグランプリを獲得した。身長は173センチだが一時は83キロもあった。5カ月で20キロ落とし、次の5カ月で肉体を仕上げた。
昨年までは、脂っこいラーメンを毎日食べ、運動も全くしていなかった。そんな生活がたたり、急性胃潰瘍のため1週間入院した。点滴を受けながら、これまでの体への負担を痛感。「生活を変えなければと感じた」が、重い腰はなかなか上がらなかった。
転機が訪れたのは昨年6月。久しぶりに会った知人に肥満体形を心配され、ジムに入会。一気にトレーニングにのめり込み「やるならボディーメークの全国大会で優勝を」と、初心者にはハードルの高い目標をあえて設定した。
3交代の工場勤務を続けながら、出社前など短時間でもジムに通った。食事も鶏胸肉とブロッコリーに切り替え、栄養の知識も徐々に身に付けていった。つらいトレーニングに苦しんだときは、トレーナーや職場の仲間の応援が心の支えになったという。
今年6月、初めて出場した同大阪大会では、初出場ながら決勝に進出する快挙を達成。7月の神戸大会ではグランプリに輝き、念願の全国切符を手に入れた。11月に東京で開かれる全国大会という大きな目標に向け、ストイックに減量を続ける。
実感したのは「健康な体を手にすると良いことだらけ」ということだった。減量後、睡眠の質が向上し、免疫力もアップ。思考も前向きになった。「健康でいることは何歳になっても大切。やってみないと気付けなかった。自分の経験が誰かの励みになれば」(児玉芙友)