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飛沫感染を防ぐ感染対策を説明する、高砂市文化会館の天川美和館長=高砂市高砂町朝日町1
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飛沫感染を防ぐ感染対策を説明する、高砂市文化会館の天川美和館長=高砂市高砂町朝日町1
4月に純烈のコンサートが開かれた高砂市文化会館=高砂市高砂町朝日町1
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4月に純烈のコンサートが開かれた高砂市文化会館=高砂市高砂町朝日町1

 新型コロナウイルスの感染拡大から約2年半が経過し、兵庫県東播地域の文化施設でも観客数が戻り始めたが、コロナ前の水準にはまだまだ至っていない。全国的な知名度のあるアーティストの公演ですら、同様だという。まだ先の公演日の感染者数の推移に気をもみつつ、関係者の綱渡りの日々は続く。(千葉翔大)

 高砂市文化会館(同市高砂町朝日町1)は、新型コロナが感染拡大した直後の2020年4~8月、来場人数が計2081人まで落ち込んだ。22年同時期は計1万4176人で、前年同期比でもほぼ2倍に増加。しかし新型コロナ流行前の19年の同時期(計2万1504人)と比べると、3分の2にとどまる。

 同館の天川美和館長は「入館者数だけを見れば、文化活動が少しずつ回復しているように見えるけど、手放しでは喜べない」と話す。

 同館じょうとんばホール(1066席)では今年4月、人気歌謡コーラスグループ「純烈」のコンサートが開かれた。検温や消毒などの基本対策と、飛沫(ひまつ)感染を防ぐ目的で会場の最前列を空席にするといった工夫を重ね、昼と夜の2回開催。各回1時間、観客は歌声に酔いしれた。

 熱烈なファンの存在で知られる同グループだが、今回の来館者数は2回で延べ計902人。収容人数の半分も埋まらなかった。

 19年11月に同ホールであった純烈のコンサートでは、チケット代が今回よりやや安かったものの、満員だった。天川館長は「(今回の)来場者からは、新型コロナの影響で『友達を誘いにくい』という声もあった」と述べる。以前は友人と一緒に訪れていた観客が、大勢の人が集まる場所に友人を誘うことをためらい、個人でチケットを購入するケースも増えたとみられる。

 さらに準備面でも、コロナの影響は深刻だ。

 著名アーティストらによる公演は、約1年前から計画する。チラシを作った後、チケットの販売は2~4カ月前に始める。販売開始時には感染者数が少なくても、数カ月後の公演当日に大きな「波」が来るリスクがある。特に高齢の観客が多い演歌のコンサートなどは、感染者数が増加に転じることを想像すると、同館も開催に消極的になりがちだという。

 現在も数カ月後の感染状況を予測し、コロナ禍でも安心して開けるイベント内容を検討する天川館長。無人の観客席をじっと見詰め、「新型コロナって台風みたい。以前のように会場がいっぱいになる様子を見たいが、いつになったら戻るのか」と無念そうにつぶやいた。

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