「生きヘタ?」ニュース
■精神疾患は「ありふれた病気」兵庫県精神保健福祉士協会会長 北岡祐子さん
11月は精神疾患をテーマに、「生きづらさ」を考えています。第2週は、兵庫県精神保健福祉士協会の会長であり、神戸市兵庫区の就労移行支援事業所長を務める北岡祐子さん(53)に話を聞きました。
-精神疾患とは。
「まず知ってほしいのは、精神疾患はほかの病気と同様、誰でもかかる可能性のある『ありふれた病気』だということです。糖尿病やがんなど五大疾病の一つです。厚生労働省の2017年の調査では、精神疾患の患者数は約420万人で、糖尿病よりも多いです。うつなどの気分障害が最も多く、幻聴や妄想、意欲の低下などの統合失調症も100人に1人弱がかかると言われています」
「精神疾患の多くは、ストレスに関連した脳内神経伝達物質の乱れや、脳機能の働きの低下が関係していると言われています。体質やストレスの影響で、ある人はがんになり、ある人は心臓疾患になり、ある人は精神疾患になる、ということです。ありふれた病気なのに、精神疾患のことはまだまだ知られていません」
-第1週に登場した淡路障害者生活支援センターの安井幹人さんも、「病気になるまで知識がなかった」と言っていました。
「分からないから、本人も周囲も不安になります。私は、精神疾患がどんなものかという知識教育が大切だと考えています。10代で発症することも多いので、知っていれば、本人が早くSOSを出すこともできます。特性を理解し、生活の工夫や対処を身につければ、自分らしく生活し、働くことができます」
「通院して薬を飲んでいるだけでは解決しないことも多いです。本人が働きたいという希望なら、周囲は『無理しないほうが…』ではなく、どう工夫すれば働けるかを考える。働くことは最大のリハビリです。そして、温かい人間関係によって治癒力が高まるのです」(聞き手・中島摩子)
<相談先紹介>
◆ひょうかれん(兵庫県精神福祉家族会連合会)電話相談 平日10~15時(12~13時は休み)。TEL078・891・3886
◆兵庫県こころの健康電話相談 火-土曜9時半~11時半、13時~15時半(祝日、年末年始除く)。TEL078・252・4987