「生きヘタ?」ニュース
■「親子関係の悩み」についてカウンセラーの加藤伊都子さんに聞きました
4月のテーマは、親子関係の悩みです。「親を好きになれない」という声もある中、「日本フェミニストカウンセリング学会」の代表理事で、長年、相談に耳を傾けてきたカウンセラーの加藤伊都子さん(72)=堺市=に聞きました。
-「親を好きになれない」という人に対して。
「好きになれなかったら、好きにならなくていいんです。親孝行や親子仲良しなどのイメージに苦しめられると思いますが、自分の根本の感じ方をねじ曲げてまで、好きになろうとする必要はありません。実際、親の声を聞くだけで、嫌悪感や怒りが湧いてくる人はたくさんいます」
「子どもにとって親は権力者。抗えない力を持っているというだけで、暴力的です。子どもは自分の言うことを聞いて当たり前という親や、友人関係などにうるさく介入し、べったりとくっつく親もいます。学生時代、運動会や文化祭の打ち上げに、一度も行かせてもらえなかったという相談もありました」
-子どもへの影響は?
「親にののしられて生きてきた子どもの場合、『生きてていい』と思えません。本当は存在しているだけで値うちがあるのに…。また、自分で考え、自分で決める経験をしていないことも深刻です。子ども時代に親の顔色を見ていたように、社会に出てからは、上司や配偶者、ママ友など、周囲の顔色ばかり見るようになります。それはとても生きづらいです」
-どうすれば?
「親との関係が、しんどいと感じた時がチャンスです。しんどいと感じるのは、つまりは成長したということ。親元を離れ、自分の人生を生き始めるスタートラインです。親から『卒業』するときは、親としんどくならない距離を保ち、多様な人と知り合って、人間関係を広げていくことが大事です。いろんな人と出会えば、『そんな道もあるんだ』『自分も十分、頑張ってきたな』などと思うことができ、楽になります」
「親がどんな人か、客観的な事実を知ることもお勧めしています。子どもは親が語る親のストーリーしか知りません。一度、親戚などに聞いてみてください。親の考えの背景、ゆがみ、限界も知ることができます。そうすれば、いちいちけんかしなくなるし、心理的な距離ができます」(聞き手・中島摩子)