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■「大人の発達障害」について兵庫県立ひょうごこころの医療センターの田中究院長に聞きました

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兵庫県立ひょうごこころの医療センターの田中究院長=神戸市北区(撮影・長嶺麻子)
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兵庫県立ひょうごこころの医療センターの田中究院長=神戸市北区(撮影・長嶺麻子)

 2月は「大人の発達障害」について考えます。「大人の発達障害外来」を設けている兵庫県立ひょうごこころの医療センター(神戸市北区)の田中究院長(66)に話を聞きました。

 -発達障害とは。

 「なんらかの特徴ある行動や思考の偏りがあることをいい、その特徴が要因で生活上の支障が生じたときに『発達障害』と診断されます。例えば、対人関係が苦手、空気が読めない、忘れ物が多い、片付けができない、臨機応変が苦手、自分のやり方に固執する…など。ただ、そういった特性を持っている人はたくさんいますし、支障が生じていなければ診断はしません」

 「障害と才能は表裏です。例えば、空気が読めないというのは、周りに左右されないということ。こだわるのは、熱心で集中していること。融通が利かないのは、こつこつと努力できること。感覚過敏は感覚が鋭敏、多動は活動的-といえます」

 「大切なのは、周囲の支援、思いやり、配慮があれば、つまずきを少なくすることができるということです。職場でも理解ある上司や同僚を得れば、能力を発揮することができます。一方で、環境や周囲との関係などによっては、うつ病やひきこもりなどの二次障害を引き起こすリスクもあります」

 -どのような支援が必要ですか?

 「周囲が本人の特性をなおそうとせず、仕事の環境ややり方を本人に合わせることです。臨機応変ができなかったり、優先順位が付けられなかったりする場合は、仕事をマニュアル化する。対人関係が苦手な場合は、対人作業を減らす。職場の暗黙のルールは文字化し、『普通』『ちゃんと』などの言い方は避けて具体的に伝えます」

 -本人が心がけることは?

 「本人に心得てほしいのは、自分の特性に合った生活が一番良いということです。特性は個性であって、変えられない。無理に周りに合わせず、自分ができることは自分でやり、苦手なことは無理をしない。逃げていいし、得意なことで勝負しよう、って私は呼びかけています。何よりも大事なのは、さまざまな特徴を持つ人が生活しにくい世の中をなんとかすることだと思います」

(聞き手・中島摩子)

 

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