「生きヘタ?」ニュース
■「起立性調節障害」について「NPO起立性調節障害ピアネットAlice」の塩島玲子代表に聞きました
7月のテーマは、朝起きられなくなったり、頭痛やめまいに苦しんだりする「起立性調節障害」です。主に思春期に発症する自律神経失調症といわれますが、周囲はどう接すればいいのでしょうか。同障害の子を持つ親の団体「NPO起立性調節障害ピアネットAlice(アリス)」(神戸市北区)の塩島玲子代表に聞きました。
-起立性調節障害とは。
「自律神経の働きが弱いため、起き上がったときに下半身に血液がたまり、脳や全身へ血液が行き渡らず、だるさやめまい、頭痛などの症状が現れます。健康な子どもの場合は、自律神経の働きで、血液が下半身にたまるのを防いでいます」
「起立性調節障害の子どもは午後から体調が戻ることが多いため、怠けやさぼりと誤解されることがあります。気合で治るものではなく病気です。小児科を受診し、しんどいときは体を休めることが必要です」
-何が大切ですか?
「心の安定と、安心して過ごせる居場所です。親や先生に理解してもらえないと、子どもは起きられない自分を責め、精神的に追い込まれるリスクもあります。本人には『今は休んでいいんだよ』と伝えてほしいです」
-塩島代表の息子も起立性調節障害でしたね。
「野球部に入っていましたが、中学2年から具合が悪い日が増えました。当時の私は、学校に行かせることに一生懸命でした。でも、診断された病院で、医師に『インフルエンザで40度の熱がある子に言っているようなものですよ』と言われ、はっとしました」
「子どもは今がしんどいのに、親は今ではなく先を見て不安になっているんですよね。私は『学校へ行こう』や『何時に起きたの?』と言うのをやめ、できないことにこだわらず、見守ることにしました。息子は少しずつ体調が良くなり、高校に入学し、今は自動車の整備士をしています」
-伝えたいことは。
「子どもの訴えに耳を傾け、子どもの可能性を信じてほしいです。今は病気でも、やりたいことができる未来はあるし、道はある。それには家庭や学校での理解が必要です。親も悩みを抱え込まず、親の会などで共有してください」(聞き手・中島摩子)
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起立性調節障害を詳しく紹介する団体のホームページは「ピアネットアリス」で検索。