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■「場面緘黙症」について「かんもくネット」代表、臨床心理士の角田圭子さんに聞きました

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場面緘黙症の支援の現場に関わる「かんもくネット」代表で、臨床心理士の角田圭子さん(提供写真)
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場面緘黙症の支援の現場に関わる「かんもくネット」代表で、臨床心理士の角田圭子さん(提供写真)

 「生きるのヘタ会?」の9月のテーマは「場面緘黙症」です。当事者や家族、支援者らをつなぐ団体「かんもくネット」代表で、臨床心理士の角田圭子さん(60)=兵庫県三田市=に話を聞きました。

 -場面緘黙症とは?

 「家では普通に話すことができるのに、保育園や幼稚園、学校といった社会的な状況では声を出して話せない症状が続く状態で、不安症の一つとされています。ここで大切なのは、自分の意思で『話さない』のではなく、『話せない』ということです。場面緘黙の子どもの状態やその背景はそれぞれ違いますが、場面緘黙症の『場面』とは『場所』『人』『活動内容』の三つの要素で決まります」

 -発症の要因は?

 「行動抑制的な気質や急激な環境変化といった環境要因などが関係するとされています。神経発達面の遅れが見られることもあり、子どもによって異なる要因で症状が形成されます。また、場面緘黙児の中には発達障害や言語の遅れなどを併せ持つ場合があります。ただ、場面緘黙の症状のためにそれらが明らかにならないことで支援の遅れにつながってしまうことがあります」

 -適切な支援を受けることができなければ?

 「長いストレス状況が続くことで、うつ的症状が出たり不登校につながってしまったりするケースがあるので注意が必要です。症状を持つ人の中には、大人になってから(場面緘黙症について)知り、本来持っている才能や個性を伸ばす機会を逃してしまう人がいます。また、本人が症状と性格を混同してしまい、自己否定をして心に傷を負ってしまうことも少なくありません」

 -求められる支援は?

 「まずは、家族や学校現場などが場面緘黙について理解を深めることが必要です。ただ、発話だけでなく動作や行動が困難な場合もあります。症状を持つ人の気持ちを確認しながら、取りたいコミュニケーションの形を見つけてあげたり、取ることができそうな動作や行動の選択肢を提案してあげたりすることが大切です。比較的不安の少ない場面が、家庭の中では多いのではないかと考えます。不安が少ない場面から少しずつ話せる場所や人を増やしていく。家庭での発話を学校現場などに広げていけるよう、支援することが求められます」

(聞き手・浮田志保)

 

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