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■「いじめの苦しみ」について、奈良女子大大学院の伊藤美奈子教授に聞きました

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学校臨床心理学が専門の伊藤美奈子さん=奈良市、奈良女子大(2021年撮影)
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学校臨床心理学が専門の伊藤美奈子さん=奈良市、奈良女子大(2021年撮影)

 夏休みが終わり、2学期が始まりました。9月のテーマは「いじめの苦しみ」です。兵庫県教育委員会の「ひょうご不登校対策推進協議会」の副会長で、奈良女子大大学院の伊藤美奈子教授(62)=学校臨床心理学=に、いじめに悩む子どもや周囲の大人へのメッセージを聞きました。

 -子どもたちへ。

 「我慢しすぎず、誰か1人でもいいので、信頼できる大人に相談してみてほしいです。話すのは勇気がいるけれど、本気で守ってくれる大人はいます。そして、相談された親や先生は、子どもに『あなたは悪くないんだよ』としっかり伝えてほしいです。時々、『あんたも悪かったんちゃう?』という言い方をする大人がいるけれど、それはやめてください」

 「いじめはけんかとは違います。いじめる側がコンプレックスやねたみ、モヤモヤを抱えていて、いじめにぶつけていることもあります。そして、いじめられている側は、自分が悪いと思わされているだけ。あなたが悪いんじゃないと、子どもに確実に伝えてほしいです。『悪くないから学校に行こう』という親もいるけど、しんどい時にそれは地獄になるので、『休むのもいいんじゃない?』という逃げ道を残すのがいいです。そして、学校に相談し、家庭と学校がしっかり手をつないでおく必要があると思います」

 -子どもがSOSを出すのは簡単ではないですよね。大人はどうすれば?

 「本当にしんどい子ほど、『助けて』が言いにくいです。ただ、気持ちがしんどいと、眠れない▽食欲がなくなる▽無口になる▽顔色がさえない-などに表れるので、その辺りに注意を配ると早めに発見できると思います。『しんどいことがあったらいつでも聞くよ』『味方だよ』というメッセージを、普段から伝えておくのは大事です。心にズカズカと入られるのは嫌がる子もいるので、『食欲なさそうだね』『眠れてる?』など、体調を心配する声かけもいいと思います」

 「話さなくても、一緒に折り紙をしたり、一緒に絵を描いたりするのもいいです。思い詰めていた気持ちがゆるんだり、一時的であれ気をそらすことで、気の持ちようが変わることもあると思います」

 -いじめへの対処は?

 「離れること、距離を取ることは、大事だと思います。相手とぶつかって解決しよう、という意見もあるかもしれないけど、とにかく関係を持たないことも解決法の一つ。『逃げる』というとネガティブに思うかもしれないけど、自分から距離を置くのは一つのやり方です。学校だけが自分の世界じゃない、世界は広い、『今』だけじゃない、と思えたらだいぶん違うと思います」(聞き手・中島摩子)

 

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