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■「アルコール依存症」の治療について「垂水病院」の山本訓也院長に聞きました

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アルコール依存症について語る山本訓也院長=神戸市西区押部谷町
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アルコール依存症について語る山本訓也院長=神戸市西区押部谷町

 6月のテーマは「アルコール依存症」です。回復に必要なことは何か。家族はどう向き合えばいいのか? 依存症治療に取り組む「垂水病院」(神戸市西区)の山本訓也院長(71)に教えてもらいました。

 -依存症の入り口は。

 「しんどい時や疲れた時、酒がおいしいかどうかではなく、逃避的な意味合いで集中的に飲む人がいます。みんなとワイワイしながら酔っ払うのではなく、しんどいことから気をそらしたくて、酔いを求めるのは精神依存であり、それは依存症の入り口になります」

 「依存症は脳の病気であり、アルコールによって非常に自己中心的な考えになります。本来のその人はそうじゃないとしても、脳がハイジャックされたような状態になります。親が依存症の場合、子どもに目を向ける余裕がなくなり、子どもがうつや摂食障害などの生きづらさを抱えることもあります」

 -依存症の回復に必要なものは?

 「一人でやめられるというのは幻想です。一人だと『ちょっとぐらい、いいんじゃないか』などの考えが浮かんできます。一方で、断酒会などの自助グループに通っていると、仲間の体験談を聞きながら『自分もそうだった』と飲む気が抑制され、断酒が続けられます」

 「そして何より、自助グループは人と対面する『場の力』がとても大きいです。自己嫌悪や孤独感がいっぱいの人が、断酒会では、『よく来たね』『そういうことってあるよ』と受け入れられる。まずは受け止めてもらわないと人は前に進めません。通い続けながら、ふっと心が軽くなる時があると聞きます。コミュニケーションとは単なる情報交換ではなく、私とあなたが承認し合っているということ。話をしながら、承認されながら、人は元気になっていくのだと思います」

 -家族はどう接すれば?

 「『なんで?』を連発する人がいますが、正しいことを言って責めても、反発されるばかりで、かみ合いません。相手を動かそうとしないことです。命令するのではなく『ずっと飲んでいるのを見るのがつらい』とか、『きょうは一緒にここに行きたかったけど残念』とか、自分を主語にして言うのがいいと思います。くどくなく、さらっと…。責めるより、そういう言葉の方が変わるきっかけになりやすいと思います」(中島摩子)

 

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