「生きヘタ?」ニュース
■「うつ病」について「こころのクリニック よしはら医院」の吉原育男院長に聞きました
3月のテーマは「うつ病」です。厚生労働省のホームページで「100人に約6人がかかる病気です」と紹介されているうつ病について、「日本精神神経科診療所協会」の理事で、「こころのクリニック よしはら医院」=西宮市甲東園=の吉原育男院長(50)に話を聞きました。
-うつ病とは?
「几帳面で完璧主義な人は、特に陥りやすいともいえますが、誰もがなりうる病気であり、特別な病気ではありません。うつ病は、エネルギーを消耗し、枯渇した状態です。自分に無理を強いて、一生懸命に頑張った結果、ということもあります。うつ病にならないためには、エネルギーをすべて消費しないよう、コントロールする必要があります」
-本人が、異変に気づくサインはありますか?
「不眠、過眠、倦怠感のほか、集中力が落ちてミスが増えたり、涙もろくなったり…。食欲の減退もあります。通常であれば、週末など数日の休養でリセットできますが、2~3週間経過して、状態が悪くなっていくようなら、うつ病のサインと思われます」
-診断されたら。
「症状が重たい時期は、ひたすら横になって休んでください。絶望の淵にある時は、何も考えなくていいので、仕事や家事の手を休め、身体を休めることが大切です。落ち着いてくると、寝る時間と起きる時間を一定にして、生活リズムを整え、午前中に日光浴をしたり、散歩をしたりすることも有効です」
「基本的にはよくなっていきます。でも、以前と同じやり方や考え方のままだと、再発しやすいといえます。大切なのは、頑張りすぎない、1人で抱え込まないこと。最高と最低の中間ぐらいを目標にして、『そこそこ、ほどほど』にやっていくのがいいです。マラソンに例えると、けがやリタイアをしないよう、ペース配分を考えて完走できるイメージで社会生活を送ってください。周囲に助けを求める力も重要です」
-ほかには。
「休みの日に回復できる自分の時間や空間を持つことも大事です。ハイキングで清清しい空気を感じるとか、釣りに出かけて、波の音を聞くとか…。リアルの世界で、体感できるものがいいですね。職場、家庭、プライベートで切り替えることで、うつ病になりにくくなると思います」