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■「男らしさの呪縛」について「日本男性相談フォーラム」の福島充人代表理事に聞きました

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男性の生きづらさについて語る福島充人さん=加古川市内(撮影・門田晋一)
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男性の生きづらさについて語る福島充人さん=加古川市内(撮影・門田晋一)

 7月のテーマは「男らしさの呪縛」です。電話相談窓口「『男』悩みのホットライン」を運営する一般社団法人「日本男性相談フォーラム」の代表理事で、臨床心理士の福島充人さん(39)=加古川市=に、男性の生きづらさについて聞きました。

 -男性のしんどさとは。

 「男性たるもの稼がないといけないとか、そういう古典的な考え方や価値観が根深くあり、それに応えなきゃ、というプレッシャーです。また、現代においては、それに応えることができない喪失感、しんどさも大きいと思います」

 「男性の問題は、男性だけの問題ではありません。社会全体の価値観、男性への期待が背景にあります。例えば『女性が男性に求める年収』が特集されたりしますよね。それを見て、これぐらい稼がないといけないんだ、そんなにないしな…と。自分は認めてもらえない、と傷つきます」

 「昨年度、内閣府が発表した性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査結果では、男女とも『男性は仕事をして家計を支えるべきだ』がトップでしたが、私が注目したのは、男性の回答上位10項目に入っていて、女性の上位10項目に入っていない項目です。『男性は結婚して家庭をもって一人前だ』と『男性は人前で泣くべきではない』の二つ。男性が自らが縛っている面もあると分かります」

 -弱音を吐けない、とされる男性向けに電話相談をする理由は?

 「1995年に始めたホットラインには、2022年10月までに約3千件の相談が寄せられました。思いを言葉にする意味は大きいです。人って、自分自身が見る(自覚する)とつらくなる気持ちは、見ないようにして生きていると思います。本当はつらかった、誰かに頼りたかった、泣きたかったとか…。自覚すると立ち上がれなくなるから、見ないようにしているともいえますが、語ることによって自分の気持ちと向き合うと、次の救いになると思います」

 -次の救い?

 「しんどかったと自覚すれば、自分自身を大事にしたい、という気持ちになると思います。同時に、周囲への期待も下がる。他の人ができないことに対して、目くじらを立てるのではなく、そういうことあるよね、と優しい言葉をかけやすくなる。対人関係がやわらかくなります。しんどいよね、と話せる人が周囲にいる方が生きやすいです」

 -今、生きづらい男性へメッセージを。

 「男というだけでしんどいこと、ありますよね…。大丈夫であろうとするんじゃなく、SOSを出していいんです。誰だってしんどいことはあるし、情けない気持ちがあっていい。頼っていい。『やってられへんわ』と口に出したり、『あるある。やってられへんよな』と返したり。そんな井戸端会議が増えたらいいなと思います」

 「『男』悩みのホットライン」は第1、2、3の月曜日の午後7~9時。TEL06・6945・0252(聞き手・中島摩子)

 

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