1950年代後半に完成した「五助堰堤」。高さは約30メートルで、六甲山系の砂防ダムでは最大級=神戸市灘区六甲山町
1950年代後半に完成した「五助堰堤」。高さは約30メートルで、六甲山系の砂防ダムでは最大級=神戸市灘区六甲山町

 1938年の阪神大水害をきっかけに始まった国の六甲山系砂防整備事業が、80年以上たった今も続いている。計画上の完了予定はなんと2061年度。近年の工事のペースでは、さらにずれ込む可能性もある。この「終わらない事業」の工期をわずかでも圧縮すべく、国はついに整備基準の抜本的な見直しに乗り出した。

 阪神大水害は86年前の7月に発生。六甲山系で発生した土石流が神戸・阪神間の市街地を襲った。死者・行方不明者は695人に上り、国は土砂の流出を食い止める砂防ダムの建設に着手した。

 国土交通省六甲砂防事務所によると、ダムの整備によって流出を食い止める必要がある土砂量は1091万立方メートル。このうち61%に当たる665万立方メートル分が2023年度までに整備された。ダムの数は566基に上る。