兵庫県知事選への立候補を正式に表明した前尼崎市長の稲村和美氏=8日午後、神戸市内(撮影・長嶺麻子)
兵庫県知事選への立候補を正式に表明した前尼崎市長の稲村和美氏=8日午後、神戸市内(撮影・長嶺麻子)

 兵庫県知事だった斎藤元彦氏(46)の失職に伴う知事選(31日告示、11月17日投開票)で、前尼崎市長の稲村和美氏(51)が8日、無所属での立候補を表明した。政党推薦も求めない方針。神戸市内で会見した稲村氏は「改革には対話と信頼が欠かせない」と強調した。近く選挙戦に向けた公約を発表するという。

 稲村氏は奈良市出身。神戸大在学中に阪神・淡路大震災が発生し、ボランティアで避難所運営に携わった。証券会社勤務を経て、2003年に兵庫県議(尼崎市選出)に初当選。2期務めた後、10年12月から尼崎市長を3期12年務めた。

 稲村氏は会見で、知人や県内市町の首長らから「兵庫県をどうにかしてほしい」と要請され、斎藤氏が失職と出直し選への立候補を表明した9月26日に決断したと明かした。「県議や市長の経験を生かし、担うべき役割があるなら頑張ろうと思った」と話した。

 県の文書問題については「告発された側である知事や幹部職員が告発者捜しをしたことが問題。県の一連の対応は検証が必要だ」と指摘。「(職員が)知事の顔色ではなく、県民の方を向けるように改革したい」と訴えた。

 公約の柱には「県民主役」「地域力向上」「未来への責任」を挙げ、県財政の抜本的な改革や地域経済の活性化、若者支援などに注力すると主張。行財政改革については「新たなロードマップを作って着実に推進」すると説明した。

 知事選にはほかに斎藤氏、共産党の推薦を受ける大沢芳清氏(61)、日本維新の会の清水貴之参院議員(50)=兵庫選挙区、元加西市長の中川暢三氏(68)、元経済産業省官僚の中村稔氏(62)、レコード会社経営の福本繁幸氏(58)が立候補する見通し。(金 慶順)