東播

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電話帳で同じ播磨町内なのに異なる市外局番(画像の一部を加工しています)
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電話帳で同じ播磨町内なのに異なる市外局番(画像の一部を加工しています)
加古川市の一部と播磨町の一部で使われている市外局番「078」の看板=播磨町野添
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加古川市の一部と播磨町の一部で使われている市外局番「078」の看板=播磨町野添
加古川市や播磨町で大半を占める市外局番「079」の看板=播磨町南野添1
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加古川市や播磨町で大半を占める市外局番「079」の看板=播磨町南野添1
播磨町を南北に伸びる県道本荘平岡線。道路を境に、市外局番は東(右)側が078、西(左)側は079になっている=播磨町南野添3、エバーホテルはりま加古川から
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播磨町を南北に伸びる県道本荘平岡線。道路を境に、市外局番は東(右)側が078、西(左)側は079になっている=播磨町南野添3、エバーホテルはりま加古川から
神戸新聞NEXT
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 「おかけになった電話番号は現在、使われていないか、市外局番からおかけになる必要があります」。兵庫県播磨町の取材先に電話した時だった。東播地域で大半を占める「079」を連打しても、全くつながらない。インターネットで確認すると、取材先の市外局番は「078」。あれ、確か播磨町役場は「079」から始まるはず。同じ自治体なのに、なぜ市外局番が二つあるの?(千葉翔大)

 ■兵庫県内に10種類

 まず、総務省が公開する「市外局番の一覧」を調べた。県内には、2019年5月時点で10種類の市外局番が存在する。うち「078」から始まるのは、神戸市や明石市、西宮市の一部地域と、東播地域では加古川市平岡町土山、播磨町上野添や北野添、古宮など主に同町東部が含まれる。

 一方、「079」はたつの市御津町▽姫路市(安富町を除く)▽高砂市▽加古川市(同市平岡町土山を除く)▽稲美町▽養父市▽朝来市-など、県西部から北部まで広く分布。ただ、同じ「079」の地域内でも、市内通話料金(昼間3分税込み9・35円)で相互通話ができる「単位料金区域」は分かれており、各区域から別の区域へは市外局番からかけないとつながらない。

 ■気にする人は少ない?

 約40年前、結婚を機に播磨町に転入したという女性(62)は「私が引っ越してきた頃、市外局番は『07894』だったの」と教えてくれた。その後の固定電話の加入者増加に伴い、市内局番を増やすために市外局番の桁が減らされたことは想像できたが、謎の解明には直接つながらない。

 同町都市計画グループに尋ねた。「ベテラン職員でも分からないみたいです」。同グループの男性職員は電話口で力なく答えた。町域の変更などに伴い、市外局番が分かれた可能性についても聞いたが、担当職員は「これまで、そのような事実(町域の変更など)はありません」。加古川市でも分かる職員を見つけられなかった。

 「なるほど…」。NTT西日本兵庫支店(神戸市中央区)に取材の趣旨を告げると、広報担当の大塚正則さんも困った様子。これまで、気にする人は少なかったのだろう。「少し調べさせてください。ただ、どれくらい時間が必要なのか、私にも見当はつきません」

 ■単位料金区域の指定

 翌日、大塚さんから連絡が入った。「おそらく社会経済圏、物流交流圏と関係があると思います」。確信がのぞく口ぶりから、記者の胸も高鳴った。教えてくれた経緯はこうだ。

 1962(昭和37)年9月、通信事業を管轄する当時の郵政省(現総務省)は、隣接する市町村や相互通話の多い地域ごとに線引きし、単位料金区域を指定した。

 この時、加古川市平岡町土山と播磨町東部は、現在は市外局番が「078」となっている神戸、明石市と同じ単位料金区域に含まれた。大塚さんは「あくまで推測ですが」と前置きしながら、続けた。「加古川市平岡町土山や播磨町東部の住民は、単位料金区域を設定する前から、神戸や明石が生活圏だったのではないでしょうか」

 ■合併先巡り住民二分

 この推測を裏付けるような記述が、播磨町が町制施行20周年の際に発行した記念誌「阿閇の里」にある。偶然かもしれないが、旧郵政省が単位料金区域を指定する5カ月前、播磨町は誕生している。

 記念誌には、同町発足までの間、明石市や加古川市などから合併の申し入れが頻繁に行われたとの記録が残る。51(同26)年7月~59(同34)年5月、計7回にわたって文書などで申し入れがあったそうだ。

 両市からの熱心な働き掛けにより、阿閇村の住民は二分された。合併先として阿閇村の東部は明石市を、西部は加古川市を望み、住民の意向を受けた村議会は最後まで一枚岩になれなかった。最終的に、独自の町制施行で決着した。

 「078」と「079」の市外局番。同じ自治体の中に二つの番号が存在する背景には、立場は違えど地域の繁栄を願った、当時の住民たちの思いが関係しているのではないだろうか。

 2022年、播磨町は町制施行60周年を迎える。もはや同じ町内で市外局番が違うことを気にする人が少ない現状こそ、町が一つになった証拠と言えるのかもしれない。二つの番号は、かつて地域が分断の危機にあったことを示す数少ない名残となっている。

 地元ならではの慣習、かつての珍騒動のその後、変わった地名…。言われてみると気になって仕方ない。そんな「なぜ?」「何?」を、記者が深掘りします。調べてほしいことを募集中。郵送かファクス、メールで連絡先を記し、〒675-0031 加古川市加古川町北在家2311、神戸新聞東播支社編集部「ナゼナニはりま」係(ファクス079・421・1023)まで。toban@kobe-np.co.jp

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