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優勝報告会で同級生のチームメートと話す石黒聖知さん(左)=稲美町役場
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優勝報告会で同級生のチームメートと話す石黒聖知さん(左)=稲美町役場

 中学駅伝女子日本一の陰に、登録メンバーには選ばれなかった一人の3年生の存在があった。昨年12月に滋賀県で開かれた第29回全国中学校駅伝の女子で、頂点に立った稲美中(兵庫県稲美町岡)陸上競技部女子駅伝チーム。石黒聖知(さち)さん(15)は2年の時に体調を崩し、以後は試合には出られない日々が続いたが、最後までチームに残り、練習を共にした。その姿が選手同士に結束をもたらした。(千葉翔大)

 石黒さんは、陸上に打ち込んでいた父の影響で、競技に興味を持った。小学校入学後、2年まで地元の陸上競技クラブ「いなみ野アスレチック」に所属。その後も父と自主練習を積み、稲美中の陸上競技部に入った。

 1年時に1500メートルを5分06秒で走り、ベストタイムを記録した。順調に力を付けつつあった2年の時、体調に異変が生じた。

 新型コロナウイルス禍による休校期間が明けた2020年6月ごろ。石黒さんは「走ったらすぐに息が切れて、ウオーミングアップでもみんなに付いていくのが精いっぱい。体がすごくだるかった」。すぐに病院を受診した。貧血だった。

 薬を1日2回服用しても回復せず、タイムは自己ベストから30秒以上遅くなった。一方、チームは同10月、東播地区中学校駅伝競走大会を連覇。同級生の長野亜美さん(15)と藤田直子さん(15)は、当時2年生で出走者に名を連ねた。

 「もちろん、試合で走りたかった。体調が万全だったらあの輪の中に入れていたのかなって、複雑な気持ちはあった」。仲間の勝利を手放しでは喜べなかった。「練習はすごくつらかったし、逃げたいと思うこともあった」。3年になり、高校受験も頭をよぎる。それでも部活動をやめずにいられたのは、仲間の存在があったからだ。

 3年の夏ごろ、貧血に加え、けがで1カ月ほど練習ができなかった時には、藤田さんが「早く一緒に練習したいね」と声を掛けてくれたという。石黒さんは「何げない一言だったかもしれないけど、やっぱり、みんなと一緒にいたいと思えた」と振り返る。

 その気持ちは、メンバーにも伝わっていた。

 全国大会でアンカーを務めた藤田さんは「さっちゃん(石黒さん)は普段は明るく、チームメートにも元気をくれた。チームにいてくれるだけで良かった」。石井洋之監督(42)も「彼女の存在がチームを一つにしてくれた。一番の功労者だと思う」とねぎらった。

 全国大会の本番は会場で見守った。3年生はこの大会で引退。レースから4日後、稲美町役場であった優勝報告会には、石黒さんの姿もあった。古谷博町長や町職員、保護者らを前に、石黒さんは言った。「私はメンバーではなかったけど、最後まで(登録メンバーの)8人を支えることができて、本当に良かった」

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