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ミットに鋭い蹴りを入れる塚本望夢さん=加古川市加古川町中津、NJKF team Bonds
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ミットに鋭い蹴りを入れる塚本望夢さん=加古川市加古川町中津、NJKF team Bonds
スパーリングで相手をじっと見つめる塚本望夢さん=加古川市加古川町中津、NJKF team Bonds
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スパーリングで相手をじっと見つめる塚本望夢さん=加古川市加古川町中津、NJKF team Bonds

 重いパンチとキックを武器に、兵庫県加古川市の高校1年塚本望夢(もうむ)さん(16)が、プロキックボクサーとしての一歩を踏み出した。テレビで見た正義のヒーローになりたくて、格闘技を始めた。持ち前の負けん気でめきめきと力を付け、のし上がり、夢が変わった。「世界チャンピオンになる」。父も、練習に没頭させられる環境を整えようと、市内でジムを開業。望夢さんは多くの人の期待を背負い、世界の厚い壁に挑んでいく。(門田晋一)

 大阪市の通信制高校で学びながら、2021年7月、総合格闘技団体「DEEP(ディープ)」のキック部門「DEEP☆KICK」で、51キロ級でデビューし、勝利を収めた。その後の3戦も全勝し、今年3月にはタイトル戦を控えるが「僕にとっては通過点。勝つだけです」と淡々と話す。

    ◇

 「仮面ライダーになって戦いたい」。3歳の頃、技を繰り出して悪者をなぎ倒す姿に憧れ、グローブを着けて相手に打撃を加える実戦的な空手教室に入った。周りの子どもより体が小さく、勝てない試合が続いたが、負けず嫌いの性格で、居残り練習に参加するほどのめり込んだ。

 小学生になってからは空手教室でキックボクシングの特訓も受け、1年生で初勝利。「強くなって、もっと戦いたい。プロになる」と自宅から教室までの片道7キロをランニングで通い、休みの日も走り込みや、相手の懐に入ってパンチを出す練習を続けた。2年生で25キロ級の中四国チャンピオンになり、全国では準優勝。その後、同チャンピオンを5回防衛し、5キロ刻みで45キロまでの4階級を制覇するなど計11冠を果たした。

 勝ちを重ね、徐々に世界を意識するように。5年生からは「最強の立ち技格闘技」とされるタイのムエタイを習得しようと、毎年数回、数週間から1カ月間ずつ現地のジムに住み込んだ。がむしゃらに世界を目指す同世代としのぎを削って、蹴りを磨いた。

 建設会社を営み、同じ教室に通っていた父祐大(ゆうた)さん(37)は「本気で世界を取るんやったら、ジムを開くぞ」と提案。その言葉に、望夢さんは誓った。「絶対、1番になる」。17年6月、自宅近くにジムがオープンし、連日、祐大さんのミットに打ち込んだ。加古川市立氷丘中学校に進学し、2年生以降、リングに立った30戦以上で無敗を続けた。

 21年3月、同中学校を卒業。タイでムエタイのプロ選手になる道を模索したが、新型コロナウイルスの感染拡大で断念。日本でプロになることを決めた。

    ◇

 「バシン、バシン」-。身長163センチながら、放った鋭いキックがミットに食い込み、その音が腹に重く響く。日々、祐大さんらと激しいトレーニングを重ねる。週3日は大阪市で、プロのキックボクサーやトレーナーの下で黙々と汗を流す。やるか、やられるか。そんな世界に身を投じた望夢さんは「勝つには、相手以上に練習することは当たり前」と闘志を燃やす。

 世界への扉を開くため、将来的には、那須川天心選手らが活躍する立ち技の格闘技団体「RISE(ライズ)」や、国内最高峰の格闘技イベント「RIZIN(ライジン)」への参戦を目指す。「誰もが『あいつには勝てない』という存在にならないと」と熱っぽく語る祐大さんを見つめ、望夢さんは深くうなずいた。

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