１０年以上にわたって雨の日以外のほぼ毎日、兵庫県播磨町本荘４の阿閇（あえ）神社境内の掃除や草抜きを行ったとして、坂井恵子さん（８０）＝同町＝が２月、同神社の総代らから感謝状を受けた。「８０年間生きてきて、こんなにうれしいことはない」と笑顔を見せる。（門田晋一）

　坂井さんが６０歳のころ、夫が交通事故を３回も起こした。そこで同神社に毎日通い、夫の無事故無違反を祈願した。７０歳の時、夫が退職時に職場から無事故、無違反、無欠席の表彰を受けた。坂井さんは「無事故で終われたのは、阿閇神社の神様のおかげ」と喜び、感謝の気持ちを表すために境内の掃除を始めたという。

　坂井さんは、雨や台風の日以外は自転車で同神社に出向く。約１時間かけて熊手で境内のごみをかき集め、草抜きに汗を流す。大きく膨らんだごみ袋は、自宅に持ち帰って処分している。

　２月１１日、同神社の宮司や総代が坂井さんに、感謝状とお米を手渡した。代表総代の山口潤一さん（７１）は「１０年以上も神社をきれいにしてくれたことに感謝している」と労をねぎらった。坂井さんは「阿閇神社のおかげで、家族みんなが幸せに暮らせている。体が元気なうちは、掃除を続けたい」と話した。