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稲美北中学校(稲美町加古)の駅伝女子日本一を伝える石碑
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稲美北中学校(稲美町加古)の駅伝女子日本一を伝える石碑
稲美中学校(同町岡)の女子全国優勝の記念石碑
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稲美中学校(同町岡)の女子全国優勝の記念石碑
福田有以選手(ユニクロ女子陸上競技部提供)
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福田有以選手(ユニクロ女子陸上競技部提供)
稲美北を日本一に導いた玉田初彦さん(中央)。遠くから部活動を見守っている=稲美町加古
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稲美北を日本一に導いた玉田初彦さん(中央)。遠くから部活動を見守っている=稲美町加古
陸上競技部員を指導する石井洋之監督(右)=稲美町岡
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陸上競技部員を指導する石井洋之監督(右)=稲美町岡

 駅伝王国とも言われる兵庫県。中でも兵庫県稲美町は、中学生の活躍が目立つ。稲美北中学校(同町加古)が2009年、稲美中学校(同町岡)が21年、いずれも全国中学校駅伝の女子で日本一となった。東播2市2町で最も少ない人口で、町内に中学校は二つしかないのに、なぜこんなに強いのだろう。(千葉翔大)

 全国中学校駅伝は、男子は6区間計18キロ、女子は5区間計12キロ。実行委員会によると、兵庫勢は、1993年の第1回大会からこれまでに男女計8回優勝。また計28回(新型コロナ禍で20年は中止)のうち、男子が19回、女子は20回、8位以内に入賞している。

 まずは稲美北、稲美の全国制覇のレースを振り返ろう。稲美北は山口市で行われた17回大会で、40分50秒を記録。1区を首位発進し、3位でたすきを受けたアンカーが1位を奪い返した。稲美は滋賀県野洲市であった29回大会で、1区から5区まで首位を譲らず、43分36秒でゴールした。

 これらの優勝を知る3人の立役者を訪ねた。

 ■1人目の立役者

 昨年、頂点に立った稲美の陸上競技部女子駅伝チームを率いる石井洋之監督(43)。大学まで長距離走を続け、卒業後、中学校教諭に。北播磨や阪神地域の公立中学校で計10年以上、陸上を教えてきた。

 5年前、稲美中に赴任。前任の阪神地域と比べ、「グラウンドが広く、学校裏には池もあって周りを走れる。前の学校の周辺は車の往来も激しく、校外では練習できなかった」。

 自然あふれる環境が、選手の強さを引き出すのか。石井監督は「小さい町だからこそ、指導者同士のつながりも濃い。まさに『チーム稲美』です」と話す。

 ■2人目の立役者

 「稲美町は小学生から陸上に興味を持ち、中学校に送り出してくれる環境がある」。監督として稲美北を日本一に導いた玉田初彦さん(61)=同町=も、独自の視点で解説してくれた。

 10年前には、県郡市区対抗駅伝で監督として加古郡女子を初優勝に導いた。当時のメンバーは全員同町出身者だった。玉田さんは「長距離の得意な子が多い土地柄なのかな」と話す。取材を進めると、意外な背景が浮かび上がった。

 ■子ども会駅伝

 同町内には、小学生らを対象とした陸上競技クラブが三つある。「『子ども会駅伝』で走れるように、習い事として通う友達もいた」と語るのは、稲美北の陸上競技部部長で3年の山口正真さん(14)。山口さんはこのうちの一つで、箱根駅伝で活躍した選手なども輩出した「いなみ野アスレチック」出身だ。

 山口さんが言う「子ども会駅伝」の正式名称は、「稲美町子ども会駅伝競走大会」。1980年ごろからほぼ毎年開かれ、男女混合で8区間計10・5キロを走る。新型コロナ禍で2年連続中止となっているが、直近は計30チームが出場した。

 同町生涯学習課の担当職員も力を込める。「稲美の子ども会と言えば、駅伝です」。毎年町中の子どもたちがしのぎを削る、一大イベントのようだ。この大会の盛り上がりぶりを裏付ける、別の証言も耳にした。

 ■3人目の立役者

 09年、中学2年で稲美北のアンカーとして日本一に貢献した福田有以(ゆい)さん(26)=千葉県。須磨学園高校、豊田自動織機で競技を続け、現在はユニクロ女子陸上競技部に所属する。

 稲美町国岡出身。小学5年でスカウトされ、いなみ野アスレチックに入った。同学年から子ども会駅伝に参加しており、「国岡は優勝を義務付けられていました。1年生から6年生が池に集まって、週1回は練習していましたから」。

 同町内で陸上に親しむ子どもにとって、子ども会駅伝は「登竜門」のような存在なのか。これが町独自の取り組みならば、それが強さの秘密なのではないか。

 ■東播を制するものは…

 だが東播2市2町に取材すると、播磨町以外では小学生を対象とした駅伝があった。そして、そもそも稲美だけでなく、東播全体が強いのではという説がにわかに浮上してきた。取材の中で、「かつて陸上関係者の間で、『東播を制する者は全国を制する』と言われていた」という話が聞こえてきたのだ。

 全国中学校駅伝での東播2市2町の好成績を見ると、男子は陵南中(加古川市野口町水足)が1、2回大会、山手中(同市山手1)が20、21回大会を連覇。中部中(同市野口町良野)は9回大会で3位に。女子は稲美北中が優勝前年の16回、荒井中(高砂市荒井町千鳥3)は24回大会で準優勝した。全国中学校駅伝実行委によると、東播地域の全国大会への出場回数は、県内他地域と比べてもダントツに多いという。

 同実行委事務局の担当者は「恒常的に勝ち上がっているため、選手や指導者たちは全国『出場』ではなく真剣に『優勝』を狙い、切磋(せっさ)琢磨(たくま)しているのだろう」。稲美町はもちろんだが、東播地域全体で、全国レベルの選手たちを小中学校時代から育む素地が広がっていることが、強さの理由の一つと言えそうだ。

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