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青々と穂を立てる大麦=稲美町内
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青々と穂を立てる大麦=稲美町内
県加古川総合庁舎に展示されているヒンメリの作品=加古川市加古川町寺家町
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県加古川総合庁舎に展示されているヒンメリの作品=加古川市加古川町寺家町
4月にあったヒンメリのワークショップ=無印良品ニッケパークタウン加古川(JA兵庫南提供)
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4月にあったヒンメリのワークショップ=無印良品ニッケパークタウン加古川(JA兵庫南提供)
特産大麦の麦わらプロジェクトに期待をかけるJA兵庫南の野村隆幸専務=加古川市加古川町寺家町
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特産大麦の麦わらプロジェクトに期待をかけるJA兵庫南の野村隆幸専務=加古川市加古川町寺家町
神戸新聞NEXT
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 兵庫県東播磨地域が一大生産地となっている大麦の生産過程で廃棄される茎を原料にしたストローや装飾品が注目されている。JA兵庫南(本店・加古川市)が2020年度に立ち上げたプロジェクトで、麦わらをプラスチックストローの代替品としたり、北欧の伝統工芸品の材料にしたり。持続可能な開発目標(SDGs)にかなう取り組みとして、教育現場での活用も期待されている。(増井哲夫)

 そもそもなぜ東播磨で大麦が生産されるようになったのか? 話は20年以上前にさかのぼる。東播磨7JAが合併して兵庫南となった1999年、それまで育てていた小麦を大麦に切り替える話が持ち上がった。

 東播磨は冬に雨が少ないことから麦栽培には向いていたが、小麦は刈り取り時期が梅雨にかかってしまい、多湿で繁殖するカビの被害に遭いやすい。また、田植えとも重なってしまう。「もう少し早く収穫可能な物にできないか」と、5月下旬に刈り取れる大麦に白羽の矢が立った。

 当初は約100ヘクタールの作付けで500トンに満たない収穫量だったが、大麦への移行が進み、2020年度は稲美町や加古川市の435ヘクタールで1750トンを収穫。麦茶を中心に商品展開し、ペットボトル茶の販路は全国に広がった。

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 一方、そこで問題になったのが、収穫後に出る大量の茎の処分だった。

 19年夏、20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)で海洋プラスチック問題が議題になり、プラスチック製品削減の機運が盛り上がった。同JA内では、プラスチックストローの代替素材として麦わらを使えないかとの検討が始まった。

 「20年東京五輪ではきっと環境に配慮した製品が使われる。そこで大麦ストローを採用してもらえたら。これはチャンスだと思った」。同JAの野村隆幸専務(61)は振り返る。

 しかし20年春、新型コロナウイルスの感染拡大で五輪は延期になり、淡い期待はあえなくついえた。しかし今度は福祉作業所に製造を依頼し、農福連携事業として製品化を目指すことになり、21年2月に「大麦ストロープロジェクト」と題して再起動した。

 ところが…。当初は簡単に作れると思われたが、いざやってみると思いの外、手間がかかることが分かった。コンバインで収穫すると茎がつぶれてしまうので、刈り取りも手作業。ストローにする作業も、一度に切断すると茎が裂けてしまうため一本一本切る必要があった。

 さらにストローに使えるのは節と節の間18~22センチの茎のみ。製品にできるのは収穫量の1割程度だった。「もはやここまでか」。野村専務が諦めかけていた4月、本店に異動してきたばかりの高見香織さん(ふれあい広報課)が声を上げた。「あの、ヒンメリを作ってみたいんですが」。聞き慣れない言葉で、野村専務は高見さんの説明に耳を傾けた。

■北欧の装飾品「ヒンメリ」体験講座人気

 ヒンメリとは、麦わらに糸を通して多面体を作ってつなぎ合わせ、天井や壁などにつるして飾る北欧フィンランドの伝統装飾品。同国ではライ麦を使う。

 高見さんはかつて美術学校で立体造形を専攻。ヒンメリの材料セットを取り寄せたことがあり、当時は輸入品でとても高価だったことを覚えていた。「大量の麦わらがあるのなら使いたい」との一心で、ヒンメリをアピール。パッケージデザインをおしゃれにすれば絶対人気になると思ったという。また同じ頃、趣味でヒンメリを作っていた稲美町の女性からも要望が届いていた。

 長さの足らない茎などストローには向かない物でも、ヒンメリ用の材料として有効活用できるというメリットもあった。「おもしろそうだ」と感じた野村専務。高見さんが中心となり、5月から早速パッケージの改良に取りかかった。

 8月、同JAが材料を提供して稲美町で開かれたヒンメリのワークショップは上々の人気だった。「いける」。高見さんは確信した。11月上旬、稲美町六分一の直売所「にじいろふぁ~みん」でお披露目の展示会を開催。ヒンメリ材料やストローの販売開始にこぎ着けた。

 両商品は狙い通り話題となり、ヒンメリはその後も量販店などでワークショップを開催。今年3月下旬には、奈良市の雑貨カフェ「くるみの木」で扱ってもらえることになった。同JAが直接商品を卸すのは初めてだった。

 地元産品を使った環境に優しい取り組みとあって、小学校が体験活動に取り入れているほか、教材として検討している高校もある。

 「商品としてだけでなく、幅広く活用され、いつか、たわわに実った大麦畑が古里の景観として認識される日が来てくれたら」。関係者の期待は膨らむ。

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