兵庫県高砂市が鍼灸(しんきゅう)やマッサージを活用する70歳以上に利用券を発行する制度について、市の縮小・廃止方針を受け、市内の鍼灸師や柔道整復師らが、制度存続を求める利用者の署名約300人分と、再考を促す申し入れ書を都倉達殊(たつよし)市長らに提出した。鍼灸院長らは「就職に困る視覚障害者らは依然として多く、鍼(はり)やマッサージの仕事が大きな受け皿になっている」と訴える。(笠原次郎)
助成制度は、高齢者の健康増進や視覚障害者の雇用確保を目的に、1982年に始まった。70歳以上の市民に年間12枚の利用券が配られ、使うと療養費から1回千円ずつ減額される。高砂市や加古川市の整骨院、マッサージ治療所など53カ所で使える。
高砂市は、同制度の利用者が減っていることや、その予算を要介護者のタクシーでの移動支援に充てることなどを理由に、2023年度は利用券の交付枚数を半分の6枚に減らし、同年度末で制度を廃止するとホームページで告知した。
同市荒井町扇町で鍼灸院を営む戸川真尚(まさよし)さん(51)は「制度廃止は決定事項のように語られているが、市は存続を求める声を十分拾ってこなかった」と反発。市内の整骨院長2人と10月27日、制度存続を求める署名と、県業界団体などの代表4人や市内の院長ら8人が対話の場を設けるよう求めた申し入れ書を、都倉市長と同市議会の今竹大祐議長に提出した。
戸川さんらは現在、市からの文書での回答を待っているという。戸川さんは「鍼灸師や柔道整復師らの施術により病気になる人が減れば、医療費も減る。年金暮らしのお年寄りは、なけなしのお金で来院している。ぜひ制度存続を」と訴える。
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