東播

  • 印刷
モンゴルの理工系人材紹介を担うハナさん=神戸市中央区、二川工業製作所三ノ宮オフィス
拡大
モンゴルの理工系人材紹介を担うハナさん=神戸市中央区、二川工業製作所三ノ宮オフィス

 理系人材不足解消に一役買おうと、建設機械・装置・部品メーカー「二川工業製作所」(本社・兵庫県加古川市)が、モンゴルの科学技術大出身者らを企業に紹介するサービスを展開している。理工系大学の卒業生採用は大手企業中心で、中小企業は人材確保に困っている。一方モンゴルでは、高い技能や知識を習得した学生の賃金が低い。そこでモンゴルの理系人材と日本の中小企業をつなぎ、双方の悩み解消を目指す。(増井哲夫)

 理系人材の確保に苦労していた同社は2019年、モンゴルの技術者を採用。ところが日本語が話せなかったため、通訳などとして採用したのが、今回の人材紹介事業の主担当となるモンゴル人女性、ダシボルマー・デルゲルツェグ=通称ハナ=さん(30)だった。

 ハナさんは15年1月、最高学府の国立モンゴル科学技術大外国語学部日本語学科を卒業。法政大大学院に留学後、いったん帰国し、日本での就職を目指していた。交流サイト(SNS)で同社の募集を知り、面接を受けて合格。20年11月に来日し、入社した。

 元々新規事業の立ち上げを目指していたハナさん。技術者の日本語教育が一段落した21年夏、モンゴルの理系人材を日本の中小企業に紹介する事業を考え始めた。

 同社によると、モンゴルは日本と同程度の大学進学率で、理系人材も多いが、産業基盤が弱く、平均賃金は月5万円。「自動車メーカーを目指していた技術者が、月7万円で自動車整備工場に勤めている」(ハナさん)。また、日本文化への関心も高く、日本で働きたいという技術者が年々増えているという。

 そこで、ハナさんは上司や同僚の助言をもらいながら事業案をまとめ、22年2月に社内の提案会で発表。新規事業として認められた。22年5月、首都ウランバートルに現地事務所を設立し、オンライン面接で紹介する人材を確保。7月からは日本で顧客企業への営業もスタートさせた。

 顧客企業の面接などで内定が出れば、モンゴルの現地事務所で日本語教育を実施し、入社までに習得させる。筆記の入社試験を課す企業の場合は、ハナさんが問題や回答の翻訳を行う。大学で専門知識を学んだ人については「技術・人文知識・国際業務」(技人国)の在留資格でビザを取得するため、職種の制限が少なく、更新を重ねることができる。求人票の提出から入国・就業まで8カ月程度を想定しているという。

 ハナさんは現在、8月に入社した元教師の加藤彩佳さん(27)とともに企業を回るなどし、モンゴルの理系人材の優秀さをPRしている。「日本では理系人材不足が年々深刻さを増している。やる気とハングリー精神のあるモンゴルの若者にチャンスを与えてあげたい」と意欲を見せた。

東播
東播の最新
もっと見る
 

天気(12月7日)

  • 15℃
  • 11℃
  • 40%

  • 13℃
  • 9℃
  • 50%

  • 16℃
  • 10℃
  • 40%

  • 16℃
  • 8℃
  • 30%

お知らせ