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じょうとんバスの車内を消毒する島宏輔さん=加古川市尾上町池田
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じょうとんバスの車内を消毒する島宏輔さん=加古川市尾上町池田
闘病する子どもの保護者が宿泊する施設を消毒する島宏輔さん=2021年2月、神戸市中央区(島さん提供)
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闘病する子どもの保護者が宿泊する施設を消毒する島宏輔さん=2021年2月、神戸市中央区(島さん提供)

 新型コロナウイルス禍でも施設や乗り物を安心して利用できるよう、兵庫県高砂市の男性が同ウイルスを不活性化するというスプレー剤を使い、消毒ボランティアを続けている。きっかけは2年前、がんなどで闘病する子どもの親の滞在施設利用が感染防止で制限され、親子が長期間会えない状況を知ったことだった。「安心して過ごせる空間を増やしたい」と同施設から始め、東播地区の教会やバスなどに活動を広げている。

 建物や車などを消毒する光触媒コーティング専門店「アスライト」(高砂市神爪6)代表の島宏輔さん(40)。高砂で生まれ育ち、高校卒業後は会社員や地質調査員を経て、2019年2月に同店を立ち上げた。

 同コーティングでは、埼玉県のメーカーが製造する特殊なスプレー剤を使う。光に当たった鉱物に生じる酸化分解力で病原菌などを抑制する「光触媒」という技術を盛り込み、光がなくても温度変化で汚れを分解する触媒を加えるなどしている。

 このスプレーは第三者機関による検査で、大腸菌などの抑制効果が確認されたという。また、スプレーに含まれる光触媒材料についても、奈良県立医科大学が20年に「新型コロナウイルスの量が99%減った」との実験結果を発表。これらの消毒は、埼玉県警のパトカー、神奈川県茅ケ崎市の保健所、帝国ホテル東京などでも使われている。

 島さんは21年1月、県立こども病院(神戸市中央区)に入院中の子どもらの保護者が宿泊する「ドナルド・マクドナルド・ハウス神戸」が、コロナ禍の影響を受けていることをインターネットで知った。

 感染拡大防止のため、1回利用すると3日間の利用停止期間が設定され、中には数カ月間も親に会うことができない子どもがいるという。そこで島さんがスプレー剤による消毒作業を無償で行うと申し出た。

 その行動の理由には、病気に苦しむ人とその家族の気持ちに寄り添いたいという思いがある。姫路市に住む姉(53)は心臓の難病を患っており、移植手術を待つ身。子どもや夫の存在を励みに闘病しているのを間近に見てきたため、人ごととは思えなかった。

 4日間かけ、1人で全館の壁や天井などにスプレーを噴射。これにより、利用停止日数が3日から従来の1日に戻り、家族に会える子どもたちが増えたという。同施設の管理者は「1人で黙々と作業されていた。すごくありがたかった」と振り返る。

 島さんはその後も、加古川市役所や日本キリスト教団高砂教会(高砂市荒井町紙町)で消毒ボランティアを続けた。昨年末にも高砂市のコミュニティーバス「じょうとんバス」6台を、加古川市内の車庫で消毒。車内の汚れを洗剤で拭き取り、1台当たり1時間かけてスプレー剤を噴射した。

 自身の車が故障した時に同バスを利用した経験があるといい、「利用料金が安くて便利なのに、コロナ禍で利用者が減っていると聞いた。少しでも役立てたらうれしい」と島さん。「世の中に人との接触を恐れる傾向がまだある。全ての人が安心して外出できる日が一日も早く来てほしい」と願う。

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