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駆除された鹿の肉と校内で廃棄予定だった野菜とでドッグフードを作った生徒たちと、プロジェクトのきっかけになったレオ(手前中央)=県立農業高校
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駆除された鹿の肉と校内で廃棄予定だった野菜とでドッグフードを作った生徒たちと、プロジェクトのきっかけになったレオ(手前中央)=県立農業高校
県農オリジナルドッグフード。配合する廃棄野菜は季節によって異なる=県立農業高校
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県農オリジナルドッグフード。配合する廃棄野菜は季節によって異なる=県立農業高校

 兵庫県立農業高校(加古川市平岡町新在家)動物科学科の2、3年生7人が、害獣駆除で捕獲された鹿の肉と、同校で出る廃棄野菜とを有効活用したドッグフードを開発した。飼育犬の病気を契機に、駆除された鹿肉が廃棄されている問題を知り、1年前から取り組みをスタート。試作と試食実験を繰り返し完成させた。クラウドファンディングで資金を募り、商品化を目指す。(増井哲夫)

 きっかけは2021年夏、飼育しているボーダーコリー「レオ」が皮膚病になったこと。病院の獣医師によると「ドッグフードに問題があるかもしれない」という。同院では駆除した鹿の肉のドッグフードを取り扱っており、生産者の宍粟市のグループ「グリーンキーパー」を教えてもらった。

 22年3月、同団体の活動を見学。全国で駆除された鹿のうちジビエ(狩猟肉)などへの利用割合は少なく、大半が廃棄されていると聞き、驚いた。「命を無駄にしてはいけない」との思いを強くした生徒たち。校内に目を向けると、さまざまな野菜が栽培される一方、廃棄される物も。そこで鹿肉とともにこうした廃棄野菜も有効活用したドッグフードを作ろうと考えた。

 各学科の教員に聞き取り、どんな物が、どれくらい廃棄されているかを調べた。殻にひびが入った卵、小さすぎて売り物にならないジャガイモ、酒米研究で使わなくなった玄米など「想像以上にたくさんの物が廃棄される可能性があると知った」と3年の連尺野莉蘭(れんしゃくのりら)さん(17)。

 当初は総合栄養食の基準を満たした餌を作ろうと考えたが、栄養素の一部は校内の廃棄野菜では調達不可能だった。「あくまで目指すのは廃棄野菜の有効活用」と考え、おやつのような一般食という位置づけでの開発に切り替えた。

 同団体にはドッグフード作りのノウハウを、ジビエの普及などに取り組むNPO法人「しかプロジェクト」には鹿肉の提供で協力してもらい、6月から校内で試作をスタート。12月に試作品ができた。23年1~3月、学校で飼っている犬3匹、次に2、3年生が飼っている20匹に「試食実験」をした結果、食いつきがよく、ふんの状態も良好であることも分かった。

 玄米、ジャガイモ、卵をはじめ、春夏版は枝豆、トウモロコシ、トマトを加えた6種類、秋冬版はニンジン、白菜、大根、大根の葉を加えた7種類を使用し、県農オリジナルドッグフードが完成。7、8月ごろ、クラウドファンディングで資金を募り、グリーンキーパーに春夏版の製造を委託する予定で、9月以降の販売開始を目指す。

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