今年のノーベル賞は、生理学・医学賞で坂口志文(さかぐち・しもん)大阪大特任教授、化学賞で北川進(きたがわ・すすむ)京都大特別教授の受賞が決まり、2人の日本人が栄誉に輝いた。今後も日本人の受賞が期待されるが、「これを発見すればノーベル賞級」と言われるネタは数多くあれど、そこに至る道筋がはっきりと見えているものは少ない。物理学の分野での「素粒子ニュートリノのCP対称性の破れ」はそんな希少案件の一つかもしれない。これまで日本のチームの研究により99・7%の確率で「破れはある」と見込まれているが、これを「発見」と言える99・99994%まで押し上げるためのプロジェクトが今、進行中だ。場所は茨城県東海村と岐阜県飛騨市神岡町。高エネルギー加速器研究機構と日本原子力研究開発機構、東京大がタッグを組み、精度を上げた実験を行う。日本のお家芸ともいえるニュートリノ研究でノーベル賞を取りに行く。(共同通信=浅見英一、田島沙羅)