■震災を忘れないという意味でも大事な大会
13回目の「神戸マラソン2025」(神戸新聞社など共催)が11月16日の号砲まで、あと1カ月となった。震災から30年の節目に際し、大会への思いやこれからの神戸マラソンについて語ってもらった。
100日連続フルマラソンなどの過酷な挑戦を達成し、親子の様子を発信するインスタグラムのフォロワーが12万人を超える「陸上系インフルエンサー」上山光広さん(44)=神戸市北区=が昨年に続きチャレンジアンバサダーを務める。
上山さんの走る姿を見て陸上競技を始めたという長男・宙大(そらた)さんは成長著しく、1月の全国都道府県対抗男子駅伝では兵庫代表として6区を走った。「頑張る宙大に感動をもらっている。父もサブ3(3時間切り)する姿を見せたい」と、昨年初めて神戸マラソンに挑み、目標から1時間程度遅い3時間59分でゴール。「設定ペース通りに走れず、きつい42・195キロだった。ゴール後に宙大から『タイムやばいやん!』とストレートに言われたのもきつかった」と苦笑い。今年春に「もう一度チャンスを」とチャレンジアンバサダーに立候補し、今回は目標を「サブ3・5」に設定。走行距離を伸ばしながらタイムを徐々に縮める練習を今夏の猛暑の中で積み、終盤の難所がなくなり最後まで平たんになった今年の新コースでリベンジを期す。
神戸市兵庫区出身の上山さんにとって、思い出深い地を走る神戸マラソン。阪神・淡路大震災では当時住んでいた市営菊水団地が半壊した。上階の重みで玄関戸が開かず避難できない階下の住民を仲間らと必死に助け出していた父、中学生だった上山さんの上に覆いかぶさってガラスの破片から守ってくれた母、消防が駆け付けられず数日間燃えたままだった実家付近など、震災の記憶は今も鮮明だ。その一方で「海、山ときれいな街並み、黄色い手袋を掲げるセレモニー、たくさんの笑顔と声援…。昨年は神戸マラソンならではの魅力も堪能できたので、今年もとても楽しみにしている」と上山さん。また震災を経験した一人として、「神戸マラソンは震災を忘れないという意味でも大事な大会。日頃から家族には、南海トラフが来ることを想定して生活することの重要さを伝えている」と話す。