120WORKPLACE KOBEに入居している企業・団体を紹介します。今回は「大和出版印刷 株式会社」です
・主な事業内容
印刷事業が中心の事業展開となっています。
最近は印刷事業で培った技術を生かした「システム開発事業」や、文具や雑貨の自社ブランド〈神戸派計画〉の卸販売をしていることから自社ブランド運営と他社の「商品開発事業」にも着手しています。
◇ ◇
<インタビュー> 企画室課長・川﨑和也さん、営業部営業課課長・藤井和博さんに聞く
─印刷業のほかにいろんな事業に取り組まれています。文具や雑貨について教えていただけますか
(川﨑)もともとオーソドックスな印刷会社でしたが、印刷だけで発展していくのは厳しいと思っていました。今のポテンシャルを保ちながら、他の展開もできないか。それが文具でした。〈神戸派計画〉というブランドを立ち上げて、最初はメモ帳のような紙製品を作っていましたが、メモ立てやノートカバーも欲しい、というような要望が出てきました。幸い取引先の業種がさまざまで、木工製品や革製品でも、メーカーを紹介してもらったり、一緒に作ったりしながら商品を増やしていきました。
ただ、新興ブランドですから、全部の商品を置いてくれる店はそうそうありません。それで、全商品を取り扱うオンラインショップ〈神戸派商品〉を運営するようになりました。これには、私たちのブランドと相性がいい商品、テイストが近い商品も並べています。
〈神戸派計画〉の商品が知られるようになると、ノベルティやOEM商品を作ってくれ、という要望が全国から届くようになりました。それでノベルティ・OEM専門の〈神戸派工場〉をつくりました。
─アピールポイントにある「ディレクションサポート」というのはなんですか
(川﨑) 中小企業で新たなブランドを作る、ということをやってきましたが、簡単なことではありませんでした。経営者の熱い思い、未知の分野にチャレンジする製造側、両者を調整するのが私の役目でした。難しい折衝を仲介したこともあります。そうした体験をお客様たちにお話したら、熱心に聞いていただけました。そのとき、こういうサービスが提供できると気づきました。新ブランドの立ち上げで若手ディレクターを育てたい、というお客様のところに、家庭教師のような感じでサポートしていきます。一緒に商品開発をしたり、PR動画、販促グッズ企画製造などをやっています。
-地域課題のアドバイザーというのは?
(藤井)その前に、印刷の営業マンにどんなイメージがありますか。皆さん「印象がない」と言うんです。印象がないところに、注文も何も、話がきませんよね。印刷営業は製造業や学校法人、企業にデザイナーと、不特定多数の方々とお付き合いします。その中で培った経験を活かせる営業を行いながら、印刷営業のイメージを改善したいと思っています。
私の場合、神戸市北区に幼い頃から住んでおり、地域のお客様からは、印刷とは関係ないことも相談されることがあります。そんなとき、「この商品を、この場所で、こういう感じで売ったらどうですか」とアドバイスしたり、チラシの相談を受けたときに、内容を聞いて印刷物には向かないと判断したときは、「ウェブでやったほうがいいですよ」とか「イベントから始めませんか」とか。そんなことをしていたら、「面白いやつがいる」とお客様がお客様を紹介してくるようになりました。また、普段から「地元を盛り上げたい」と話していたので、それを耳にした企業様から地域イベントのプロデュースを依頼されるようになりました。
─イベントのノウハウはあったんですか
(川﨑) 弊社のお客様には学校関係が多く、オープンキャンパスなどのイベントにもよく絡んでいました。直接任せていただくのは印刷物に限ることが多いのですが、どう見せたらいいか、など、相談はよくあります。
(藤井)印刷は最終成果物だと思うんです。私たちは最後にできるもの、ゴールを知っている。そこを知っているからこそ、上流のコトが提案できる。ただ、印刷営業マンだからといって、印刷物にすべて落とし込もうという発想は持っていません。印刷だけではなくて、関連するイベントや企画にも触れます。印刷をよく知っているからこそ、印刷物でやる、やらない、という判断ができます。印刷だけにこだわって本当のことを言わないと、後々、信用されませんから(笑)。
─モノづくりネットワークについて教えてください
(藤井)障がい者施設には、「袋詰め」のような仕事があります。印刷会社でもよくお願いしていましたが、最近はそうした仕事自体がなくなってきています。施設の人たちにしかできない仕事が生み出せないか、というのがきっかけでした。最初にお願いしたのが、オリジナルペンケースの作成です。しかし、施設だけで作ろうとするとクオリティを保つのが難しい。困っていると、地域の子育てをしている主婦の方が自宅で出来る仕事を探していることを知り、施設にはカットとアイロンを、主婦の方にはミシンの部分をお願いしました。その主婦の方は普段からお子さんの服や通学バッグなどを縫っていたので、とても上手でした。そしてコスト、クオリティ共に良いものができるようになったら、刺繍や木材加工など、グレードの高い注文もくるようになりました。さすがに施設の方や主婦の方だけでは対応できなくなったので、出来る人を探していくと、地域に職人の方がたくさんいることが分かり、「施設、主婦、職人」の3者のネットワークで、小ロットかつ低コストのモノづくりができるようになりました。自社が受注したノベルティも、基本は紙製品しかできませんが、3者のネットワークで布製品や木工製品も扱えるようになりました。
─話を聞いているうちに、何の会社か分からなくなってきました(笑)
(川﨑)印刷会社というくくりになると、皆さん「チラシ、カタログを作る会社さんですね」で終わってしまう。そこから、こうした話をすると、「えっ、何それ」と逆に興味を持ってもらえる。
(藤井)これからはプロジェクト単位でする仕事が多くなると思います。何かの目的に対して、それぞれのプロフェッショナルが集まり、素晴らしいものを作り、終わったら解散し、また新しいプロジェクトを立ち上げる、というやり方です。
(川﨑)企業同士で仕事をいただくというよりは、まず個人単位で情報交換して、では一緒に仕事をしましょう、という段階になって初めて名刺を交換するときがあります。会社の名前より、私が今まで何をしてきたか、お客様に対して何ができるか、ということがより重要になってきています。
(藤井)仕事のやり方、取り方についても今は何が正解か分からない。ただ、動かないといけないというのは間違いないと思います。動くための拠点、何かしら実験ができる拠点として、120ワークプレイス神戸があるんじゃないかな、と私はそう解釈しています。
─120ワークプレイス神戸に入居したのは、「営業スタイルの変化」を求めたからとありますが…
(川﨑)120に決めた目的は、ネットワークを構築するためというのが大きいんです。「お客様とのネットワーク」、「一緒にものづくり、ことづくりをしてくれるパートナー企業・個人とのネットワーク」、そして「お客様でもあり、お仕事もお願いできる方々とのネットワーク」の3つです。それを、神戸中心にやっていきたい。それなら神戸でも情報量が多い三宮に出るべきかな、と。
本社は六甲アイランドのフェリー乗り場に近いところにあります。駅から遠いので、こちらからお迎えにあがったりするとお客様に気を使わせてしまったりしますが、ここでしたら、三宮で打合せしましょう、と気軽に会うことができます。これまでお客様との打ち合わせはメールだけというケースも多かったのですが、フェースツーフェースの付き合いが増えました。
─最後に一言ずつお願いします
(藤井)面白い会社、型にとらわれない会社です。代表は昔から「出る杭は打たへんけど、出ない杭は抜くぞ」と言います。社員を尊重してくれる会社です。
(川﨑)代表に「120でやりたい」と話したら、一度見に来て、「やってみ」と即答でした。私たちが面白いと思うこと、やりたいと思うことを積極的にやらせてくれる会社です。期待されていると思うと、何かしら結果を残さないといけません。だから本気です。
【メモ】
・代表者名 武部健也
・連絡先 078・857・2355
・Webサイト https://www.d-wa.co.jp/
・許可、登録、免許 プライバシーマーク
・アピールポイント
①自社ステーショナリーブランド〈神戸派計画〉を運営することでグッドデザイン賞受賞、日本文具大賞 機能部門グランプリ受賞
②自社ブランドを運営してきたディレクター経験を活かしたディレクションサポートにも取り組んでいます。中小企業の商品開発や新サービス作りを任せられる若手ディレクターのサポートを行い、家庭教師のような距離感でモノづくりを一緒に目指す取り組みを行っています。
③クライアントに対して印刷だけではなく企画・ニーズの掘り起こし・場の提供とスタートからゴールまで一貫した提案を心がけています。
④地域(神戸市北区)の課題に対してアドバイザーとして取り組んでいます。
⑤障がい者施設+子育て世代ママ+職人の方とのネットワークをつなぎ小ロットかつ低コストでのモノづくりネットワークの構築を目指しています。
・顧客、市場 まずは神戸で活動している企業や個人事業主と連携し、神戸から新サービス、新商品、イベント展開などの企画から関与できるビジネス展開を目指しています。弊社は印刷工場が六甲アイランドにあり、パートナー企業も神戸に多く存在します。このネットワークを核として、繋がったネットワークをさらに広げることで「神戸だからできる取り組み」を一つでも増やしていきたい。東京や大阪などの都市からも仕事の相談を受けることができる「企画からフィニッシュまでコーディネートするディレクション」を目指します。
・120の活用法 企業や個人事業主、団体との情報交流や新規開拓です。パートナー企業を増加させたいと考えています。他には人事採用も視野に入れて入居しています。
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