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社会の授業でパソコンを活用する生徒=高砂中学校
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社会の授業でパソコンを活用する生徒=高砂中学校

 衆院選の19日公示、31日投開票が決まった。新型コロナウイルスは地域住民を疲弊させ、飲食店をはじめ、事業者を苦境に陥らせている。この国の行方を決める選挙を前に、兵庫県の東播地域からコロナ禍の実情を伝える。

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 「このままでは安心して通学させられない。情報端末を使って、授業をオンラインにしてほしい」

 高砂市内の小学校に子どもを通わせる保護者の一人が、新型コロナウイルス感染への不安を同校に訴えた。併設の学童保育所で8月下旬から感染が拡大。保護者が校内での感染を心配して休ませた児童は、9月上旬には約200人に上っていた。

 国の「GIGAスクール構想」を受け、市立小中学校には5月末までにノートパソコンが1人1台ずつ届いていた。ただ実際には環境がまだ整わず、同校は保護者の要望に応じられなかった。無線による通信は不安定。教諭も児童も端末の扱いに慣れていなかった。

 全国の小中学校に情報端末を配る同構想は当初、2020~23年度の4年を要する一大プロジェクトだった。コロナ禍の臨時休校を受け、国が整備期限を3年間前倒しして20年度末としたため、教育現場の混乱を招いた。

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 感染が拡大した昨年2月、当時の安倍晋三首相は全国の学校に一斉休校を要請した。だが、休校時のオンライン授業を想定した場合、無線LAN「Wi-Fi(ワイファイ)」がない家庭では遠隔授業が受けられない。東播2市2町は足並みをそろえ、通信環境として、電波のエリア内なら家庭でもつながる無線通信システム「地域BWA(広帯域移動無線アクセス)」の採用を決めた。

 コロナ禍による部品製造中止などの影響を受け、2市2町の全公立70校の児童生徒に端末約3万4千台が届いたのは今年6月末。地域BWAのサービスを担う「BAN-BANネットワークス」(加古川市)は、半径2キロに電波を届ける基地局を、東播全域で既存の8カ所から77カ所に増やした。

 だが、回線がつながりにくい学校が続出。高砂市内のある中学校では、全校生がパソコンを一斉に使い始めると、ごく少数しかつながらなかった。最新機器を活用できる通信環境は整備途上だ。

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 同市高砂町大工町の高砂中学校では9月下旬以降、同社の電波増強工事で通信環境が改善。1年生のクラスでは、社会の授業で生徒たちが南米の熱帯林開発についてパソコンに意見を打ち込むと、黒板上のスクリーンに映し出され、全員が読むことができた。

 男子生徒(13)は「他の人の意見も把握できるので、議論が活発になる」。松野賢一教諭(36)も「資料を拡大して、より分かりやすく提示でき、生徒の関心を刺激できる」とした上で、情報担当教諭として「最新機器に疎い教員もいる。研修で全体を底上げしていきたい」と話す。

 コロナ禍は、情報通信技術(ICT)の教育への活用が遅れているという、この国の弱点をあぶり出した。変革の速さに遅れまいと、現場の試行錯誤は続く。(笠原次郎)

【GIGAスクール構想】全国の国公私立の小中学校で、児童や生徒に1人1台のノートパソコンやタブレット端末を配備し、高速通信環境も整備する文部科学省の計画。新型コロナウイルスの感染拡大で遠隔授業の必要性が増したため、国は2023年度中に配備を終える計画を前倒しし、20年度末までに完了するよう各自治体に促した。需要の集中などで整備が遅れ、21年度に入って完了する自治体も。増加する不登校の児童や生徒も、端末を使って自宅から授業に参加することが可能になる。

【バックナンバー】
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