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明石海峡大橋特集

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開通から15年を迎えた明石海峡大橋=淡路市岩屋(撮影・宮路博志)
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開通から15年を迎えた明石海峡大橋=淡路市岩屋(撮影・宮路博志)

 神戸市と淡路島をつなぐ明石海峡大橋が5日、開通から15年を迎える。割高との批判を受けてきた通行料金は、当初と比べ最大で千円以上値下がりし、来年度には一般の高速道路並みになる予定だ。しかし、巨額の債務は依然として大きな課題で、関係自治体の負担も続く。一方で、太陽光発電事業に乗り出す企業の進出ラッシュやエネルギー・食料の自給率向上を目指す「あわじ環境未来島構想」も進み、島内活性化に期待を託す。(長谷部崇、佐藤健介)

■割引効果

 多額の建設コストで、大橋の料金体系は一般高速の海峡部と比べ割高で、利用者が伸び悩んだ。開通時の通行料金(垂水-淡路インターチェンジ間)は、普通車2600円。2003年には自動料金収受システム(ETC)割引制度がスタートし、ETC利用車は2173円となった。

 08年度まで1日平均2万2千~2万5千台で推移した通行量は、09年の「休日上限千円」が始まってから急増。初めて3万台を突破した。現在、ETC利用の普通車は、平日1610円、休日1050円となっている。14年度からは国の方針で、全国共通の水準の850円(兵庫県試算)になると見込まれる。

■宿泊客数

 県によると、島内の観光客数は開通前の1997年度が723万人。淡路花博があった00年度は1731万人を記録。以降は1千万人程度で推移しているという。淡路県民局は「交通の利便性が向上した結果」とみる。

 一方、宿泊客数を見ると、11年度は137万人で、開通前の97年度の141万人より減少。マイカーの日帰り客が大半を占めることが影響したとみられる。

 同県民局は、名所旧跡や自然豊かな山間部など、交通網の〝空白地〟を巡る周遊バスを計画。地元の観光協会やバス事業者と経路や本数などを協議し、今秋の試験運行開始を目指す。同県民局は「公共交通機関で旅する人も呼び込めれば、島での滞在時間が伸び、宿泊客の増加につながるのではないか」と期待する。

■企業進出

 一方で、深刻なのが島内人口の減少だ。大橋開通前の97年10月、16万1297人いた島の人口は、今年3月現在で13万9478人。2万人以上も減った。

 県と島内3市は人口流出に歯止めをかけ、島内活性化につなげようと、10年に「あわじ環境未来島構想」を策定。規制緩和を伴う総合特区にも認定され、自然エネルギーの可能性を広げる潮流発電の実証実験や、農業を通じた人材育成・交流施設の整備など先駆的な約90事業が進む。国内でも最大級のメガソーラー事業を計画する企業進出も続いている。県の担当者は「交流人口の増加につながる起爆剤にしたい」と話す。

   ◇   ◇

▼客船には荒波、10航路廃止に/残るは高速船のみ

 国土交通省神戸運輸監理部によると、明石海峡大橋開通前の1997年には、本州と淡路島を結ぶ定期航路は、フェリーと旅客船を合わせて11航路あったが、開通後は、廃止が相次いだ。

 半世紀以上にわたって親しまれた「明石淡路フェリー(愛称・たこフェリー)」も、大橋などの高速道路値下げ政策のあおりを受け、昨年6月に航路を廃止。現在残るのは、明石と淡路島を結ぶ高速船「淡路ジェノバライン」の1航路のみとなっている。

2013/4/5
 

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