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明石海峡大橋特集

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 明石海峡大橋が開通して、5日で丸5年。淡路島と本州を結ぶ交通手段の主役は車やバスに移ったが、大橋の通行台数は当初の需要予測を下回ったままで、本州四国連絡橋公団(本社・神戸市)はこれまでの方針を変更し、初めて通行料の値下げを決めた。一方で、海上交通の経営も厳しさを増す。運賃の値上げに踏み切る船会社や補助金を投入する自治体もあり、航路の維持に懸命だ。(内田尚典)

 開通後、島内と阪神間を結ぶ高速バスは増便を続けた。淡路交通(本社・洲本市)は当初の6路線112便から、順次増やし、現在は8路線144便を運行する。

 しかし、開通による観光ブームに沸いた初年度を含め、大橋の通行台数が需要予測を超えた年はない。同公団は「開通5年後には1日平均約4万台が通行する」とみていたが、2001年度は約2万5千台だった。

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 「新料金 7月から」

 3月半ば、朝刊各紙に見出しが躍った。同公団が大橋の通行料値下げを国土交通省に正式申請した。

 これまでの通行料は、開通から5年間に限った暫定料金。基本料金より20%安く、本来なら3月末に切れる計画だった。しかし一転、公団は期間を延長。さらに現行より一割値下げし、7月からは28%引きとなる。

 神戸・垂水から大橋を通り、神戸淡路鳴門自動車道を縦断して徳島・鳴門まで走ると、約80キロ。現行の通行料は普通自動車で5800円かかるが、新料金では5200円に下がる。

 とはいえ、島内の1市10町が求めてきた日本道路公団(JH)並みには依然程遠い。JHの山陽自動車道の場合、同じ通行料で神戸北インターから広島・三原久井まで約225キロを走ることができ、3倍近い開きがある。

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 一方で、料金変更は苦境にあえぐ船会社の経営にとってさらに打撃だ。明石・岩屋(津名郡淡路町)間で通勤・通学などに利用される「明淡高速船」の小田雅英専務は「暫定期間の5年の辛抱と思い、頑張ってきたのに」と表情は渋い。

 同社は00年12月、それまで競合していた2社が共同で設立。航路を1つに統合し、船員を解雇するなど合理化。資本金6000万円も取り崩し、02年度決算で約700万円の債務超過に陥った。

 存続をかけ、今月10日からは運賃を平均14・3%値上げする。改定後は、中学生以上は片道が410円から500円、小学生以下は片道210円が250円へ。「航路を維持するためには、利用者に負担増をお願いするしかない。逆効果は覚悟の上」と話す。

 神戸運輸監理部によると、大橋開通の影響で多くの航路が廃止・縮小を余儀なくされ、淡路島発着の定期航路で残るのは、旅客船が四航路、フェリー2航路の計6航路。

 うち、旅客の津名・天保山間は休止中で、洲本・関西国際空港間も洲本市出資の第三セクターが航路を引き継いだが、赤字運航が続く。

 富島(津名郡北淡町)-明石間は01年秋にいったん廃止され、翌年4月に別会社が引き継いだ。船の老朽化に悩み、同町が新船購入の補助として5千万円を03年度予算に計上するなど、存続の道筋を手探りしている。

2003/4/5
 

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