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明石海峡大橋特集

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満車状態となり、無秩序に車が並ぶ遠田バス停駐車場=淡路市遠田
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満車状態となり、無秩序に車が並ぶ遠田バス停駐車場=淡路市遠田

 明石海峡大橋が開通して10年。兵庫県淡路市では、阪神方面への主要な交通手段として高速バスが定着したが、バス停に近い一部の市営無料駐車場に利用が集中して混雑を招き、通勤通学に支障が出ている。車は市外からも押し寄せ、混雑緩和を迫られた市は「受益者負担」の観点から有料化の検討を始めた。しかし、利用者からは「まず十分な広さの確保を」と反発の声も出ている。(小林伸哉)

 高速バス停近くの淡路市営駐車場(約1600台分)は無料10カ所と有料1カ所が混在している。合併した旧5町で対応が異なったためだ。利用者間の公平性や行財政改革の観点から、昨年12月に市が「駐車場有料化検討委員会」(委員長・冨岡篤太郎副市長)で議論を始めたばかりだ。

 有料は、旧津名町の津名港ターミナル駐車場のみ。無料施設にひかれ、旧津名町域の住民が市内他地域に流れる。「さらに南の洲本市も市街地の駐車場が有料なため、車が押し寄せている」と淡路市職員らは指摘する。

 神戸まで通勤する洲本市の男性(59)は、自宅から淡路市北部の東浦インターチェンジ(IC)バス停横の駐車場まで、約50分間車を走らせる。北から乗るほどバス代が安い利点を挙げ「会社の通勤費支給額に限界がある。節約のためにここまで来ている」。

 特に、手狭な本四仁井バス停(50台駐車可能)、遠田バス停(58台同)などの駐車場は混雑を極め、迷惑駐車も横行。「農機が田んぼに入れない」「道路の見通しが悪くて危ない」と苦情が淡路市に寄せられていた。逆に「駐車場に止められず、駐車違反で捕まった」との電話も。

 市職員によると、遠田は「10年前の架橋時よりバスの本数が格段に増えたことで、駐車量は倍以上になった」という。平日の午前8時前には白線で仕切った区画の前に、駐車車両が並ぶ。

 市内の女子専門学校生(19)は「車がぶつかりそうで怖い。安心して車を置けるようにして」。洲本市の男性会社員(47)は「出勤時間の遅い日は駐車場が込んで止められない」と、約9キロ北の北淡ICバス停に向かう。

 高速バス停近くの公営駐車場は、島内全市で混雑している。対策として洲本市は昨年12月、洲本高速バスセンター近くの有料駐車場3カ所の料金設定を見直した。短時間なら安く、長時間なら高くして、バス通勤者らを多少遠くても安い別の駐車場へ誘導。南あわじ市は昨年、市営駐車場(無料、約200台分)を20台分増やした。

 有料化について、淡路市の冨岡副市長は「混雑緩和も期待できる。有料にふさわしい施設整備の充実も進められる」とする。「ガソリン代も高いのに、駐車場まで有料は困る」と利用者の不満は根強いが「財政難もあり、駐車場維持に若干の利用者負担が避けられない」と理解を求める。

 ただ有料化にはさまざまな課題も。法令に適合するよう道路拡幅などの経費が必要▽周辺の迷惑駐車増加のおそれ▽料金徴収機の設置費が多額-など。「有料化と駐車場拡張の方針決定にはまだ時間がかかる」と漏らす。

 とはいえ、日々の駐車に苦労する利用者の不満に、どう応えるか。一方で有料化への反発に対する説明責任は? 混雑緩和に向け、市には難しいかじ取りが求められている。

2008/5/29
 

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