明石海峡大橋特集
道路特定財源を2009年度から一般財源化する-。
福田康夫首相が新提案を示した先月27日夕刻、一報を知らされた中田勝久・南あわじ市長は驚きを隠せなかった。
「明石海峡大橋の料金値下げはできるのか」
中田市長は「神戸淡路鳴門自動車利用促進淡路島民会議」の会長を務める。国との交渉で先頭に立ち、今秋にも道路特定財源の活用で料金減額を図る-との感触を得ていた。
「ほかの財源で補うにしろ、かなりの影響が懸念される」。中田市長は困惑した。
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大橋の通行料金は普通車で2300円。割高な背景には、本州四国連絡道路(本四道路)3ルートの交通量予測が大きく外れたことがある。
大橋の通行料金認可を受ける際、旧本州四国連絡橋公団がはじいた3ルートの計画交通量は、1999年度、1日平均で4万6500台。07年度には6万5400台に達するはずだった。しかし、実績は99年度、3万7千台にとどまり、07年度は3万8300台だった。なぜか。
明石海峡を含む本四3ルートは、高度経済成長期に構想、計画されたが、それぞれの開通時期は、バブル経済とその崩壊期をまたぐ。
「交通量予測の際、社会経済の伸び率が実態より大きく設定されていたことが、予測と実績がかけ離れた要因」。公団民営化で生まれた本州四国連絡高速道路(本四高速、神戸市)の菅原秀敏・広報課長は話す。3ルートの計画交通量はその後、実績に合わせ大幅に下方修正し、05年度以降は毎年3万6800台と見込んだ。
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「高い」とされる大橋の通行料金だが、旧公団は料金設定の際、「早期の利用者定着」をうたい、98年から5年間の時限措置として本来の体系から2割引きしている。建設費の償還期間を33年から50年に延長した上、国と、受益者とされる兵庫県、神戸市など関係十府県市の出資金を計1兆6千億円に倍増し措置した。それでも交通量は伸び悩み、03年7月、さらに1割値下げし現在に至る。財源は10府県市の出資期間延長だ。
07年8月には、道路特定財源を活用し、大型車の深夜3割引きなどの社会実験も始めた。
「交通量は(下方修正した)予測を上回り、単年度の収支は黒字」と本四高速の菅原課長。が「債務返済もある。大幅な交通量増が見込めない中、収入の伸びは楽観できない。さらなる値下げは困難」と付け加えた。
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5千億円を投じた明石海峡大橋は5日、開通から10年を迎える。「夢の架け橋」と呼ばれ悲願だった道路は、何をもたらしたのか。軌跡を検証し、この道の先を探る。
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