エッセー・評論

木皿食堂

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 子供の頃、なぜあんなに、ひもじかったのだろう。3食しっかり食べているのに、学校から帰ると、途端にお腹(なか)が空(す)いてたまらなくなった。昔のことで何の買い置きもなく、冷やご飯があればラッキーで、兄は、それもない時は生の米をかじると言っていた。真似(まね)て食べてみたが、たくさん食べられるものではなかった。

 家に帰ると、まず冷蔵庫に向かうのが習慣で、何もないのはわかっているのに開けてしまう。日々、中の物は変わってゆくのに、赤くて丸い固まりと、小さなインク瓶のようなモノだけは、いつまでもそこにあった。その二つは、得体(えたい)が知れず、兄も妹も手をつけなかったが、一度、どうしようもなくお腹が空いたので、赤くて丸い方をかじってみた。石〓(1)(せっけん)のような味だった。その後、社会人になって、それは赤い〓(2)(ろう)でくるまれたチーズだと知った。私は〓(2)を食べていたのだった。

2012/11/4

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