エッセー・評論

木皿食堂

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撮影・木皿泉

撮影・木皿泉

 脚本とか小説とか書いていると、電車に乗ることがあまりない。久しぶりに神戸の地下鉄に乗って、へぇと思った。ホームから見える壁に大きく、神戸市が広告をズラッと一面に並べているのだ。家庭内暴力で誰にも言えず悩んでいませんかとか、妊娠してしまって困っていませんかとか、もしそうなら、こちらへ電話して相談してください、という広告である。いつわが身にふりかかっても不思議ではない、けれど本人にとってみれば深刻なシチュエーションをいくつも並べて、そんなときは神戸市のどこそこへ電話をしてくださいという案内だ。相談内容によって電話番号が違っているのがきめ細やかで、親身な感じがする。それらを見ているうちに、なぜか私は、ほっとした気分になる。

 この手のものは、トイレなどの人目につかない場所に、肩身の狭い感じでひっそり貼ってあるのは知っていた。人に知られたくないことだろうから、人に知られない場所に貼っておこうという配慮だろう。でもそれは、そんな心配事を持っている人は、こそこそせねばならない、というようにも取れる。自分の悩みを人に気づかせてはならないと思っていたら、事はどんどん大きくなってゆき、手の及ばないことになってしまう。だから大きな広告でやるのは、心配事を抱えている人にとってみれば、とても心強いと思う。実際に電話で相談するしないは別にして、とても有効な広告だと思う。運よく、今はそんな心配事を持っていない人にも、どこか心を穏やかな気持ちにさせるのではないだろうか。

2016/11/6

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