エッセー・評論

木皿食堂

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撮影・木皿泉

撮影・木皿泉

 ことの始まりはワタリガニだった。市場でひときわ立派なワタリガニの背中に1250円の値札が貼りつけられてあり、安いと思って手に取った。ワタリガニはまだ生きていて、運が悪いことにハサミの部分を縛っていた輪ゴムが切れていたらしく、私の人さし指をものすごい力ではさみ、そのまま離そうとしない。あわてたのはお店の人で、両手で必死にハサミを開こうとしてくれるのだが、ワタリガニの力の方が強く、私の指をさらに強く締めつけてくる。客が集まって来て、ことの成り行きを見守っている。不用意に触ってしまった自分が恥ずかしい。店の人が力を込めた一瞬、何とか指を抜いた。

 客から、よかったよかったと言われ、今日はなんて日なんだろうと思っていると、店のオジサンが可哀相(かわいそう)に思ってくれたのか、50円引いてくれた。指はじんじんするが血は出ていない。はさまれてラッキーだったと自分に言い聞かせ買って帰った。

2013/10/6

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