エッセー・評論

木皿食堂

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撮影・木皿泉

撮影・木皿泉

 瀬戸内海の島へ行ってきた。豊(て)島(しま)という小豆島の西にある小さな島で、一日あれば自転車で回れてしまう。オリーブとミカンの木を抜けて、坂道を上ったり下ったりしていると、突然、丸いコンクリートの建築物が現れる。豊島美術館だ。

 入ると、すでに10人ぐらいの人が動かずにじっと床を見たり、天を見上げたり、ぼんやり座ったり寝ころがったり、それぞれが好きにしている。床から水の粒が吹き出していて、それがツーッと床をすべるように移動して別の水の粒と合体する。ただそれだけのことなのに、見ていて飽きない。丸くカーブするコンクリートの天井には大きな二つの穴が開いていて、濃い緑の木々と真っ青な空と白い雲が見えている。そこに細いリボンがぶらさがり、天女の羽衣のように風にゆれている。それは、この世のものとは思えない場所で、私はここに来たかったのだった。

2013/7/14

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