
■藤田さん「ファミリー枠」設けては
入江 神戸マラソンを走る女性ランナーは、他の大会に比べその比率は高いものの、まだ伸びしろがある。女性ランナーの参加を増やすためのアイデアを。
升川 第5回大会の女性ランナーの完走率は23%だった。全国の市民マラソンと比べると多い方で、今年はもっと増えるとうれしい。神戸の都市イメージに対して、女性からの好感度が高いことも要因の一つだと思うが、女性ランナーに他大会より広く門戸を開放している大会であることの理解は進みつつあるのかな、と感じている。自分にチャレンジする女性ランナーを応援する「キラキラ女子ランナー枠」を設けているほか、ファッション都市神戸らしく、ファッションで際立った人を表彰する「おしゃれランナー賞」も設け、ファッションでも自己主張する楽しみも提案している。
金城 神戸マラソンに限らず、国内の市民マラソンへの女性の参加は増加傾向にある。海外を見ると、シカゴマラソン(米国)は参加者の半数が女性だ。なぜなら、街全体で「女性が前向きになれる社会」を形作っているからだ。女性、男性を問わずチャレンジできる文化が根付き、ランニングが健康やリフレッシュのために適しているという理解が進んでいるからだろう。日本はまだ女性の社会進出が遅れている。それを10年、20年かけて変えていけるかどうかが問われている。兵庫、神戸はそのような役割も果たしてほしい。
田中 走り始めたころに比べ、女性ランナーがかなり増えているなと実感している。同年代も多いし、周囲のお母さんたちの中には、神戸マラソンのボランティアの経験をきっかけに走り始めた人もいる。そういった人のために女性グループでのエントリー枠をできる限り増やしてほしい。また、以前は結婚した後に走るのをやめてしまう人が多かったが、今では夫婦で走り、互いに応援し、支えあいながら走っている人たちもたくさんいる。ぜひ夫婦エントリー枠も設けてほしい。
藤田 以前と違って街を走る女性ランナーは増えているし、ウエアもファッショナブルに変わってきているなと感じる。田中さんが言われた夫婦枠のほかに、家族で参加できるファミリー枠をぜひ設けてはどうか。20~30代の参加者を増やすなら、その親世代と一緒に走れる「大人のファミリー枠」を設けてもいいと思う。神戸に来てくれた女性ランナー向けの特典などを設け「また神戸マラソンを走りたい」と思う気持ちを持ってもらうことも大切だ。
■升川さん ランナー満足度高める/金城さん「走る楽しみ」が多様化/田中さん 一番の魅力は途切れぬ声援
入江 国内の都市型マラソンは活況だが、飽和状態にあるとも言える。これからは「ランナーに選ばれるマラソン大会」に向けた取り組みが不可欠だ。神戸マラソンの魅力や、さらなる可能性について聞きたい。
升川 最も倍率の高かったのが第3回大会の4・4倍で、今年の第6回は定員が増えたこともあり3・8倍だった。選ばれるためには、より「ランナー満足度」の高い大会にしていかなければならないし、受け入れるムード、支えるムードも高めていきたい。そのために知恵を絞っているところだ。
金城 10年前と比べてフルマラソンを走る人は5倍に増え、全国のフルマラソンは80大会を数えるまでになった。ただ、応募総数は減っている。なぜかと言うと、ランニングの楽しみ方が多様化しているからだ。大会に出ることも目標の一つではあるが、近年は50人ほどの小規模イベントや、記録会を開催したりする人が、都市部を中心に増えている。それだけマラソンのすそ野が広がり、ライフスタイルに応じた楽しみ方が増えてきているということだ。神戸マラソンも大会は1日だけだが、マラソンをライフスタイルの一つとして普及させる取り組みにも力を入れていくべきだし、それが県民、市民の健康増進にもつながる。「医療産業都市」を推進する神戸ならではの取り組みにもなるだろう。
田中 神戸マラソンの何よりの魅力はスタートからゴールまで途切れることのない沿道の応援だ。多くのマラソンを経験しているが、一番多いのではないか。いつも印象に残るのは終盤の浜手バイパスの坂のところだ。そこは一般の方は沿道で応援できないのだが、道路沿いのビルのフロアからの応援があり、いつも力をもらっている。神戸マラソンのコースは全体にアップダウンがきつく、苦しいコースなのだが、なぜかゴールすると良いタイムが出る不思議なコース。それも沿道の応援のおかげなのかな、と感じている。だから一度走った人はその魅力を知ってまた走りたくなる。一人でも多くの方に神戸マラソンを走ってもらえる仕掛けが大切だと思う。
藤田 中央大学在学中に箱根駅伝を2度走ったが、神戸マラソンはそれに勝るとも劣らない熱い応援を感じる。海岸部で漁船から応援してもらえるのは神戸マラソンだけだろう。神戸マラソンを走った方の声は何より説得力がある。会員制交流サイト(SNS)などを通じて、神戸マラソン経験者に魅力を呼び掛けてもらうのも一つの方法だと思う。兵庫県は陸上競技が盛んで、有名な選手も数多く輩出している。そういう選手が神戸マラソンを走ることで、こんな選手になりたいというあこがれも生まれる。
金城 「チャレンジマインド」を醸成するためには、市民ランナー、競技ランナーのために二つのことに挑んでみてはどうか。一つは先にも挙げたように県民、市民の健康向上に結び付けることだ。1年を通してランニングを習慣づければ健康寿命を延ばすことにつながる。肥満率などの指標を掲げて改善度合いを図っていけばいい。もう一つは競技力の向上だ。市民ランナーはオリンピックには出られないが、将来オリンピックに出る選手を下支えすることで、競技力を支える大会にもなりうる。
升川 「チャレンジマインド」に先がけて掲げている「ホスピタリティマインド」は兵庫・神戸の魅力を楽しんでもらうこと、「ボランティアマインド」は被災された人や、お世話になった人のために走る気持ちだ。年間を通じて神戸マラソンを点ではなく面で支えるボランティアの組織化や、ランニング教室の対象をもっと広げていくなど、取り組めることから始めていきたい。
入江 いよいよ本番まで2カ月。どのような気持ちで迎えるのか。
藤田 「感謝と友情」のテーマを心に刻みながら走りたい。練習してきたことを最大限発揮し、県内選手トップでのゴールを目指す。
田中 今回は参加できないが、次々に新しい試みを取り入れている神戸マラソンはますます発展していくと信じている。
金城 私も今回応募して当選したので、3時間半を切るのが目標だ。
【出席者】
升川清則さん(神戸マラソン実行委員会事務局長)
田中千洋さん(第3回神戸マラソン女子優勝)
藤田将弘さん(第5回神戸マラソン男子3位、2016豪パースマラソン優勝)
金城栄一さん(アールビーズ取締役事業局長)
【司会】
入江智美・神戸新聞社編集局運動部長
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