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まちある調査団

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親分・南研吾さん(右端)の名前を入れた法被を着て祭りの練習に励む「南連中」の若者たち=高砂市曽根町
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親分・南研吾さん(右端)の名前を入れた法被を着て祭りの練習に励む「南連中」の若者たち=高砂市曽根町

 「兄やん(親分)、準備ができました」-。10月、秋祭りシーズンに入った高砂市を歩けば、「親分」という呼び名を耳にする。住民同士で擬制の親子関係をつくる「連中制度」と言われるものだが、語感がどうも穏やかでないような…。(安藤文暁)

 同市曽根町。高校1年の岬大輝さん(16)は毎週仲間と集まり、近況を伝える。相手は、親分こと会社員南研吾さん(36)。昨年12月、中学の級友10人で子分にしてもらった。

 「連中を組んで祭りに参加したい」。昨秋、岬さんの申し出を受け、地域の人が南さんに頼んでくれた。地域には複数の連中があり、一生続く関係になる。「子分のどんな不始末も親分の責任。引き受けるには相応の覚悟がいる」と南さん。日常生活でも親代わりとなり、その絆の強さは秋祭りで試される。

 子分は親分の名前入りの法被を着て屋台を担ぎ、統率手腕は親分の見せ所でもある。

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 親分子分の由来について、暴力団研究で知られた元東洋大名誉教授の故・岩井弘融氏(社会病理学)は著書で、擬制の親子関係を日本古来の慣習とし、暴力団のそれを「異質的変異」と分析する。

 県内では豊岡・城崎温泉でも高砂と同様の連中制度が残る。また、朝来市の生野銀山には、全国の鉱山・炭鉱にあった「友子制度」の史料が残っていた。労働者間で決まった親分が子分を助け、一人前に育てる。栃木県日光市では、成人を迎えた男子が親類を親分とする「川俣の元服式」が国指定の重要無形文化財になっている。

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 曽根町の連中の発祥を知る史料はないが、江戸期に盛んだった塩田業が起源とみる市民は多い。兵庫県立歴史博物館の小栗栖健治館長補佐は「江戸中期に屋台祭りが播州で始まったが、運営には厳格な上下関係が必要。既にあった擬制の親子関係が重宝された」と推測する。

 だが市外に出る若者も少なくないのに、なぜ存続できるのか。

 流通科学大学の藤原喜美子准教授(日本民俗学)はこんな見立てをした。「秋には必ず帰ってきたくなる。祭りの魅力こそが、人々の縁を途切れさせず、連中を維持する基盤になっている」

2013/10/4

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